シャープは、2018年3月期上期(2017年4~9月)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比21.3%増の1兆1151億円、営業利益は前年同期の500倍以上となる405億円となった。経常利益は前年同期の320億円の赤字から411億円の黒字に改善。当期純利益は前年同期の454億円の赤字から357億円の黒字となった。
シャープ 代表取締役兼副社長執行役員の野村勝明氏は、「売上高、各利益ともに、5月26日に公表した上期予想を上回った。とくにアドバンスディスプレイシステムを中心に、売上高は引き続き順調に推移しており、前年実績を20%上回る大幅な増収となった。各セグメントともに増収となっている。また各利益は、前年同期から改善し、順調に推移。すべての部門で黒字となった。四半期最終利益は、上期予想を大幅に上回り、リーマンショック以前の水準にまで回復した」と総括した。
セグメント別業績では、スマートホームの売上高が前年同期比10.2%増の2906億円、営業利益は41.2%増となる204億円。「フラッグシップモデルとなる『AQUOS R』を中心に携帯電話が増収になったことに加えて、コードレス掃除機、プラズマクラスターイオンを搭載した洗濯機も好調に推移。エネルギーソリューション事業も底堅く推移した。独自の新製品投入や商品ラインアップの強化、コストダウン効果で大幅な増益となった」とした。
スマートビジネスソリューションの売上高が1.9%増の1627億円、営業利益が20.8%減の89億円。「サイネージが好調であったほか、販路拡大に向けた投資の効果もあって、海外での販売が拡大。売り上げが増大した。価格下落の影響はあったが、コストダウン効果で黒字を維持した」という。
IoTエレクトロデバイスの売上高が8.5%増の1922億円、営業利益が前年同期の15億円の赤字から36億円の黒字に転換。「スマートフォン向けカメラモジュールや半導体、レーザーなどの独自デバイスの販売増加もあり増収。モデルミックス、コスト改善の効果により黒字転換した」という。
アドバンスディスプレイシステムの売上高は45.9%増の5216億円、営業利益が前年同期の146億円の赤字から、163億円の黒字に転換した。
「液晶テレビ事業は、価格下落の影響があったもの、中国での大幅な販売拡大、欧州やアジアでも売上が拡大し増収とともに、黒字を維持。欧州では自社ブランドによる販売体制を取り戻した成果が出ている。ディスプレイ事業は、大手顧客向けのスマホ、タブレット用中小型ディスプレイ、車載向け、ゲーム向けパネルが伸長した。特に中型ディスプレイが売上高、収益ともに大きく貢献している」という。
5216億円のうち、液晶テレビが3分の1、ディスプレイが3分の2となっているという。アドバンスディスプレイシステムの利益率は3.1%に留まっているが、「この利益率には満足していない。IPSの強みなどを生かして、付加価値を高めた提案をしていく」とし、「利益率が高いのが中小型。テレビ向けの大型パネルの利益率は高くないが、赤字ではない」と説明した。
なお、上期の営業利益における増減要因として「白物はそれほど下がっていないが、それを除くと全体的に売価ダウンが見られる」(シャープ 執行役員 管理統轄本部 管理本部長の榊原聡氏)を挙げ、「コストダウンやモデルミックスの効果で515億円、販売増加で466億円のプラス要因があった」(野村氏)とした。
また「上期の海外比率は前年同期には66%だったものが、約70%に達している。だが、国内の方が利益率が高い。今後、海外を伸長させていくなかで考えていく必要がある」とした。
8Kテレビは、12月1日から国内販売を開始する予定であり、すでに予約をスタートしているが、「引き合いはいい状況である。12月のスタートでは、月200台規模の販売を目指す。すでに販売を開始している中国でもいいスタートを切っている」と述べた。下期からの利益貢献を想定しているという。
自己資本比率は6月末時点の17.5%から、9月末時点で18.2%に上昇。有利子負債は、6月末から横ばいとなり、6573億円となった。
一方、5月26日に公表した2018年3月期通期業績見通しを上方修正した。売上高は前年比22.4%増の2兆5100億円を前回予想のままとしたが、営業利益は30億円増となる前年比48.9%増の930億円、経常利益は80億円増となる247.0%増の870億円、当期純利益は100億円増とし、前年の248億円の赤字から690億円への黒字転換を目指す。
「売上高は、経済動向などの不確定要素があり前回予想を据え置いたが、上期の実績を踏まえ、営業利益、経常利益、当期純利益を上方修正した。下期においても、これまでの流れを止めることなく、事業の拡大を図り、着実に通期業績予想を達成するとともにに、利益率も上期を上回るように収益率の改善に取り組む」とした。
なお、神戸製鋼の品質問題については「銅管やアルミ材料を調達しており、エアコンや冷蔵庫、液晶パネルに使用しているが、納入された材料や当社が製品化したものを確認したところ、影響はないと考えている」とコメントした。
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