9月27日に開催された「Real Estate Tech 2017」において、「不動産業界向けIoTサービスと都市インフラサービスへの取り組みのご紹介」と題し、ビジネスホンを手がける岩崎通信機が取り組むIoTについて、同社ビジネス戦略本部 ビジネス戦略部 部長の菅野壽美氏が事例を交えて解説した。
岩崎通信機は1938年(昭和13年)に設立。創業から79周年を数え、通信機器メーカーとしては国内でも屈指の歴史を誇る。「IWATSU(岩通)」のブランドを各所で用いており、ロゴはもちろん、英文社名も「IWATSU ELECTRIC CO.,LTD.」。いわゆる「ビジネスホン」の開発・製造に代表される情報通信事業を主力とし、オフィス用の電話機本体のほか、構内PHSシステムなども生産している。
電子計測事業も大きな柱の1つ。1954年(昭和29年)に国内で初めてオシロスコープの生産販売を開始して以来、各種の電子計測器を開発している。スーパーカミオカンデや、ロケットの搭載機器の電源制御・監視にも岩崎通信機の製品が採用されている。このほか、印刷システム事業として電子製版機・デジタルラベル印刷機も開発。それぞれ毛色の異なる3つの事業を併せ持つ点が、岩崎通信機の特色と言える。
同社ではIoT時代の本格到来を見据え、研究および製品開発を進めている。その際に大きな強みとなるのが、情報通信事業・電子計測事業で長年培ったきた知見だ。IoTとは、あらゆる機器がインターネット接続を果たすだけでなく、センサを通じてさまざまな事象を計測できるようにする事にも大きな意味がある。「岩崎通信機は60年以上に渡って電子測定器を販売してきた。この計測技術こそが(IoTにおける)センシングの要。これまでの技術を活かして独自にセンサも開発できる」と菅野氏は胸を張る。
続いて菅野氏からは、岩崎通信機として取り組んでいるIoT関連サービスの事例が紹介された。まずグループ会社の岩通マニュファクチャリングが運営する福島・須賀川工場では、LED照明748灯の調光制御がすべて無線化されており、タブレット操作からの操作に対応するほか、スケジュール消灯や人感センサの併用で電力消費を低減する。制御には、IoT向け規格として知られる「Z-Wave」を採用しているのも大きな特徴だ。
この結果、2014年には、蛍光灯からLED照明への変更だけでまず43%の電力量節約を達成。これに調光制御を加えたことで最終的に64%の削減を実現した。
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