また、介護施設でもIoTの導入効果は高いと考えられるという。入所者の離床・ドア開閉・生活反応の有無などをセンサでキャッチし、クラウドへ送信。分析結果を介護スタッフへ通知する。この際、一般的にはスマートフォンのプッシュ通知機能を利用するケースが多いが、岩崎通信機では介護施設の実情を考慮し、PHSへの通知機能を新たに追加している。
不動産業界向けのIoTサービスでは、ウィナスが展開する「エンカク」と連携。客の物件内覧の際、施錠・解錠のために営業担当者が同行するケースが多々あるが、効率の面で課題だ。そこでスマートロックを活用。営業担当者が不在でも内覧客自身が鍵を開け閉めできるようになる。
当然スマートロック自体は入居中の店子にとっても便利なため、契約更新率の向上が期待できる。またセンサなどを追加整備すれば、エアコン・照明類の遠隔電源コントロール機能も一括で提供可能という。
このほか、ビルや農業施設の遠隔監視にもIoTの応用が期待されているが、従来の3G/LTEネットワークやWi-Fiでは通信範囲、バッテリ容量、料金などの面で不利がある。そこで「LPWA(Low Power, Wide Area)」が注目されている。
一般にLPWAとして扱われる無線規格は複数ある。岩崎通信機の場合、「LoRaWAN」と「SIGFOX」の検討を行っている。他にも「NB-IoT(Narrow Band-IoT)」なども存在し、いずれも5〜数十kmクラスの広域通信を可能としている。
対して、宅内などのごく狭い範囲でのIoT通信であれば、Wi-FiやBluetoothを利用できる。しかしここでも「ZigBee」や「Z-Wave」などの新顔が登場してきている。
Z-Waveは、前述の須賀川工場におけるLED照明の無線調光システムで実績がある。菅野氏は「日本ではまだまだ馴染みの薄い規格だが、欧米ではDIY用などとして簡単に購入できる。(中略)そして周波数帯は920MHz帯なので、(電子レンジの影響を受けやすい2.4GHz帯の)Wi-Fiと比べて干渉が少ない」と解説。また、グーグルのスマートスピーカがZ-Waveを介したデバイス制御に対応するとの報道にも言及し、今後の普及への期待感を覗かせた。
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