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電子通貨とO2Oで地域経済を活性化--訪日客も取り込める「電子地域通貨」とは - (page 2)

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外貨獲得しやすい手段を作ることで地域振興へ

 O2Oへの取り組みを一段と強める一方で、同社はFinTech分野にも進出している。ビットコインをはじめとする仮想通貨や、金融機関と連携した資産管理サービスなどを包括するFinTechだが、同社がフォーカスしているのはより狭い地域のFinTech、つまり「電子地域通貨」と呼んでいるものだ。

 現在日本国内で流通している地域通貨は、紙の商品券や磁気カードを用いたものが8件ほど。一方で、金融機関による電子地域通貨として本格展開しているものは、同社が手がける岐阜県飛騨市「さるぼぼコイン」のみ。日本初の本格的な電子地域通貨としている。


地域振興を目的として提供する

 都市部では電子マネーやクレジットカード決済が普及しているが、地方ではそれらを導入するための専用端末の設置費用を負担できないお店もあるため、普及が進まないのだという。初期導入費用と運用コスト(手数料)を最小限に抑えられるかどうかが、電子地域通貨の普及の鍵になると言える。

 そうした背景のなか、2017年5月からの約3カ月間だけ実施した「さるぼぼコイン」の実証実験は、飛騨信用組合の協力のもと、およそ700万円の予算で、230人に1人当たり3万円ずつ配布して行われた。3万円は専用のスマートフォンアプリにチャージされる。ユーザーは会計時に店舗のカウンターなどに張り出されているQRコードを専用アプリから撮影して読み取り、アプリ画面から支払額をユーザー自身の手で入力するだけだ。


決済用のQRコードをカウンターなどに貼り出しておく。消費者はアプリでQRコードを撮影するだけ

 実証実験の結果としては、小田氏いわく「簡単便利で、初期導入費もなく使える」という点で「消費者からもお店からも評価は高かった」とのこと。O2Oの側面では、スマートフォンアプリ経由での支払いとなることから、「その人がいつ、どの店で、いくら買ったのかが捕捉できるようになる」のが大きなメリットとなる。また、「店側の売上、仕入れ状況もわかってくる。金融機関からすると、そのお店の信用データにもなる」と話す。

 決済用のツールをQRコードとしているところにも利点がある。QRコードを用いた決済手法は中国のユーザーの多くが利用している「Alipay」や「WeChat Pay」で採用されている仕組みでもあり、中国からの訪日外国人にとっては慣れた支払い方法だ。訪日外国人からの外貨獲得の手段を広げるという意味でも、QRコードを用いるメリットは大きい。

 その地域内でお金を回すこと、そして外貨獲得手段の1つとすることは、「地域経済活性化、地域振興の大きな切り口」になると同氏は語る。現在、同社はさらに「もっと狭いエリア」で活用できる電子通貨の仕組みとして、特定のオフィス内でのみ利用可能な「オフィスコイン」の実証実験を進めていることも報告した。


同社は現在、置き菓子サービスなどに利用できる「オフィスコイン」を実験しているところ

 「アプリで払えます、というだけではなく、(1万円分で1万500円相当の電子通貨がチャージされるような)プレミアム感と、店に行きたいと思える仕組み作りが重要」と同氏。今後は電子地域通貨にブロックチェーン技術なども応用することで「低コストで高い信頼性のものがつくりやすい、よりしっかりした良いものが、安くできる世界が来る」と見ている。


電子地域通貨を成功させるには、プレミアム感、ポイント制度、適切な情報配信が重要だとする

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