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プログラミングを色鉛筆のような“表現ツール”に--DeNA、小学校に学習アプリを無償提供

藤井涼 (編集部)2017年10月20日 06時00分
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 ディー・エヌ・エー(DeNA)は10月19日、小学校低学年向けのプログラミング学習アプリ「プログラミングゼミ」(iOS、Android、Windows)を無料で公開した。小学校や学習塾、家庭などでの利用を想定しているという。また、同アプリが「渋谷モデル」に採用され、渋谷区が区立小学校の教員や生徒に配布するタブレット約7000台に導入されることも発表した。


渋谷区立千駄谷小学校でのプログラミング体験授業の模様

 プログラミングゼミは、ビジュアルプログラミングを採用することで小学校低学年の子どもでも理解しやすく、楽しみながらプログラミングの概念などを学べるアプリ。パズルや既成プログラムを組み替えてキャラクターを動かしたり、子どもが紙に描いた絵をカメラ機能で撮影してアプリに取り込み、動かしたりできる。


 iOS、Android、Windowsを搭載したスマートフォンやタブレットに対応。また、セットアップと作品シェア時以外はオフライン環境でも動作するという。保護者・先生向けには、使用時間の制限、作品の公開設定、スキルレベルの設定などの機能を提供する。

 同日には渋谷区立千駄谷小学校での体験授業の模様が報道陣向けに公開された。体験したのは1年2組で、子どもたちが同アプリに触れるのはこの日が初めて。しかし、アプリ開発を務めたDeNAの末廣章介氏が講師となり操作方法を教えると、すぐに使い方を理解し、楽しそうにキャラクターを動かしたり、問題を解いたりしていた。


プログラムのパーツを組み替えてキャラクターを操作する

DeNA代表取締役会長の南場智子氏が子どもたちにアドバイスしていた

色鉛筆やハサミのような“表現ツール”に

 DeNAは、CSR活動の一環として2014年より佐賀県武雄市と神奈川県横浜市の公立小学校で、実証研究授業としてプログラミング教育を実施してきた。今回提供するプログラミングゼミの前身となるタブレットPC用ソフトを開発し、約3年半で1200名以上の小学校低学年にプログラミングの機会を提供。アプリ開発者が自ら小学校で授業をした経験や、教員の意見などを反映しながらカリキュラムを改善してきたという。

 渋谷区との取り組みは、2020年から始まるプログラミング教育必修化に向け、小学校低学年のうちからプログラミング体験の機会や環境を提供することを目的にしているという。プログラミングゼミ導入にあたり渋谷区とDeNAで協議した結果、千駄谷小学校をDeNAのプログラミング教育のモデル校に選定。小学校1〜2年生に向けて10月から約半年間、全10回のプログラミング授業を実施する。また、渋谷区立小学校の全18校の放課後クラブで、体験講座を実施する予定だという。

 渋谷区教育委員会 教育長の森富子氏は、「2016年度から渋谷区内の一部の学校で(プログラミング教育の)検証をする中で、指導者が不足している、低学年向けの指導に課題があるといった知見が得られた」と説明。渋谷区はIT企業が多いことから民間企業と協力しやすく、中でも指導人材を確保でき、低学年向けのソフトも開発しているDeNAが最適だと考え、パートナーに選んだと経緯を話した。


渋谷区教育委員会 教育長の森富子氏

 DeNA代表取締役会長の南場智子氏は、誰かが作ったゲームやサービスを使うだけでなく、色鉛筆やノリ、ハサミのような“表現ツール”の1つとしてプログラミングを使いこなせるようになることが大切だと説明。自分が想像したものを自ら作り出せるようにする機会を与えることで、子どもたちの可能性を広げたいとした。


DeNA代表取締役会長の南場智子氏

 同事業に携わったDeNA取締役の川崎修平氏は、「プログラミングに対して、『新しい科目を覚えるのは嫌だな』と思ってほしくない。とにかく楽しいものだということを原体験として感じてもらいたい」とコメント。同社は教育については素人だとしつつも、ゲームなどで培った“面白さ”を伝えるノウハウには自信があり、低学年にプログラミングの楽しさを伝えるという目的であれば強みを発揮できると説明した。また、教材作りにあたっては、教育現場や公教育の状況に則した内容とカリキュラムになるよう心掛けたと振り返った。


DeNA取締役の川崎修平氏

 ところで、子ども向けのプログラミングアプリは、すでに「Scratch Jr(スクラッチ ジュニア)」や「Viscuit(ビスケット)」などが存在する。これらを採用しなかった理由については、「限られた時間と人材で授業を進めるには、教材の仕組みや授業の進め方を最適化しなければいけない。2週間ごとに授業があるため、利用者のフィードバックをその都度反映するには、コードベースを自社で持つ必要があった」と説明した。

 今後のロードマップとしては、2017年にアプリのリリースやカリキュラム案・実践事例の公開による「環境の整備」、2018〜19年に体験イベントやコンテストを開くことによる「機会の提供」、そして2020年に全国の小学校への普及や、意欲のある子どもへのさらなる機会提供による「誰もが楽しむ・学ぶ状態」を目指すとしている。

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