10月3日〜10月9日のAppleに関連するCNET Japanのニュースをまとめた「今週のAppleニュース一気読み」。
10月6日、Appleの共同創業者、Steve Jobs氏がこの世を去ってから6年が過ぎた。この6年間のAppleを振り返ると、Appleにとっては非常に成功した期間だった。その理由は非常にシンプルで、「正しいことを着実にやり続ける企業」であり続けた、ということだ。
その戦略の正しさ故に、つまらなさすら感じるかもしれない。誰もが「そうなるよな」と感じることを、着実に、億単位の製品数の規模で実現することができる点こそ、現在のAppleの強さであり怖さだ。
シリコンバレーでは「Apple待ち」の雰囲気も醸成されている。新しいテクノロジが一般の人々の生活に入り込むきっかけをAppleが握っており、Appleが何かアクションを起こすまで、多くのテクノロジ企業は待たなければならない、ということだ。
これまで、カメラ、アプリストア、音声アシスタント、指紋認証、モバイル決済、プライバシーといったスタンダードをスマートフォンにもたらしており、直近では、スマートウォッチ、ワイヤレスヘッドホン、ワイヤレス充電、そして拡張現実と機械学習がこれにあたる。初めて世の中に送り出す製品は少ないが、最良の形で人々に届けていることにインパクトがある。
その地位を獲得する過程は、iPhoneの発展と密接に関係がある。Appleは2年ごとの端末の買い換えサイクルを創り出し、テクノロジ企業としてはゆっくりと、毎年1機種ずつリリースするiPhoneで、新しいテクノロジを着実に広めてきた。
2011年にはiPhone 4Sを発売し、音声アシスタント「Siri」を搭載した初めてのiPhoneを世に送り出した。翌年にはiPhone 5を発売し、3.5インチから4インチへとディスプレイサイズを拡大させた。現在もこの4インチRetinaディスプレイは、iPhone SEに採用され一定の人気を集めるサイズとなっている。
AppleのiPhoneが大幅に飛躍したのが、2012年発売のiPhone 5sだ。デザインはiPhone 5と同じ4インチスマートフォンであるが、現在にも通じる非常に重要なアップデートが施されている。それは、A4以来自社設計で開発を続けてきたプロセッサだ。
この製品に採用されたA7は、スマートフォンとして初めての64ビットプロセッサとなり、以来AppleはiPhoneの処理性能を「デスクトップクラス」と表現するようになる。Androidスマートフォンから3年分のアドバンテージを手にし、処理性能は今もなおQualcomm製チップを寄せ付けず、スコア上はMacBook Proに搭載されるIntel Core i5を上回るようになった。
当時競合のモバイルプロセッサを販売していたQualcommからは「マーケティング上のまやかしだ」との批判を受けた。1Gバイトしかメモリを搭載しないiPhoneには無意味な64ビット化だとの指摘だった。
しかし、64ビット化に合わせて命令セットが刷新されたこと、性能だけでなく省電力性の強化も意識した点から、結果的にはiPhoneの群を抜く性能と省電力性、そして薄型を実現するデザインの自由度を獲得し、iPhoneの製品としてのアドバンテージを規定する要因を創り出している。
iPhoneがスマートフォンとして大幅に販売台数を伸ばしたのは、iPhone 6、iPhone 6 Plusを発売した2014年モデルだ。中国市場の立ち上がりと、長らくAndroidにマーケティング上で負けていた画面サイズを拡大させたことで、2機種だけで世界で最もスマートフォンを販売するメーカーとなり、スマートフォン市場の9割の利益を独占する存在となった。
そしてiPhone 10周年を迎える2017年、有機ELディスプレイを搭載するiPhone Xを発表し、ホームボタンという10年前に定義したiPhoneの基本的なインターフェースに変更を施した。
Jobs氏死去からの6年間は、iPhoneが成熟を極める時代であり、これから訪れる時代をいかにデザインしていくかは、Jobs氏の預かり知らない世界でもある。Jobs氏が送り出したiPhoneが、この6年間で世界を完全に変えてしまったからだ。
Appleは次のイノベーションのために、Jobs氏が設計に参画してきたApple Parkを建設した。カリフォルニアの自然あふれる未来的な環境から、何が生み出されるのか、再び人々は「Apple待ち」の構えを強めなければならないかもしれない。
ジョブズ氏死去から6年、アップルのクックCEOが追悼メッセージ (10/6)Appleは先週、iPhone、Apple WatchやMac向けのOSのアップデートをリリースした。iPhone向けには、iPhone 8、iPhone 8 Plusで通話時にノイズが入る問題を解決しているほか、セルラー対応のApple Watch Series 3のLTE接続問題の改善を施すwatchOS 4.0.1もリリースされている。
またMac向けには、macOS High Sierra向けの追加アップデートがリリースされ、パスワードに関連する脆弱性が修正された。AppleはiOS 11.1のベータ版をリリースしており、新たに搭載される絵文字などが明らかになっている。Appleは11月3日に有機ELディスプレイを搭載するiPhone Xをリリースする予定で、iOS 11.1アップデートには、iPhone Xに関連するアップデートも含まれてくる可能性がある。
「watchOS 4.0.1」リリース--「Apple Watch Series 3」のLTE接続を改善 (10/5)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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