テクノロジ関連メーカーだけでなく、医療機器やスポーツ、ファッションメーカーも参入しているウェアラブル市場。スマートウォッチ、スポーツウォッチ、フィットネストラッカー(活動量計)、スマートグラス、ヘッドセットなど、含まれる製品は幅広い。注目度は高いものの、市場成長は当初の期待ほどではないとの声もある。実際の販売はどうなっているのか?
GfKの調査では、ウェアラブル市場は世界的には拡大傾向が続いており、2017年上半期(1〜6月)の販売前年比をみると、アジアでは台数が21%増、金額が26%増。西ヨーロッパでも台数が22%増、金額が33%増となった。
販売台数でウェアラブル市場の約半数を占めているのがフィットネストラッカー(活動量計)。アジアでは台数前年比5%減とやや縮小したが、西ヨーロッパでは同20%増であり、健康志向に支えられて堅調だ。2016年に世界16カ国で実施した調査では、消費者の33%が健康状態や運動量に関するデータをウェブサイト、スマートフォンアプリ、歩数計、ウェアラブルなどでモニタリングしていると回答した。そのうち55%は、「体調や健康状態の維持、改善のため使用している」としており、ウェアラブルによる健康管理に興味を持つ消費者は多い。
販売金額ベースで市場を支えているのは、単価の高いスマートウォッチ。2017年上半期の販売前年比をみると、アジアでは台数が34%増、金額が18%増。西ヨーロッパでも台数が19%増、金額が33%増と拡大基調にある。日本においても台数が38%増、金額が42%増と好調だ。ユーザー層は当初、最新テクノロジへの関心が高い男性など非常に限定的だったが、小型軽量化や、スポーツ、ファッションブランドの参入により、すそ野が大きく広がった。新しい「Apple Watch」のSIM搭載や、Android搭載機を中心とした円形ディスプレイの採用など、機能、利用シーン、デザインなどの選択肢はますます豊富になっている。
また、見た目は従来のファッション時計だが、スマホからの簡単な通知機能などが搭載されたコネクテッドウォッチも急成長している。販売台数の規模はまだ大きくないものの、アジアは1年前の4.3倍、西ヨーロッパは2倍と拡大。日本においても、3.8倍となっている。
高い成長率を見せるウェアラブルだが市場規模は限定的で、日本でみてもファッション時計の年間販売台数の5%にも満たない。普及という観点では伸びしろが大きいと言えよう。さらなる成長の鍵は、ウェアラブルで集めたデータでどれだけユーザーの生活を便利で快適にできるかにあるだろう。薬を飲む時間や適切な摂取カロリーの通知、不在時の家のモニタリングなど、ユーザーひとりひとりのニーズに合わせたデータの活用や機能の搭載が期待される。また、すでにスマートシューズやスマートウェアが発表され話題になっているが、今後は意識的にガジェットを使用する必要がなくなり、日常にテクノロジーが溶け込むようになることも欠かせないだろう。
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