バッファロー大学の研究チームは、PCユーザーの心臓の形や大きさ、動きをレーダーで解析し、その結果をユーザー認証に利用する生体認証技術を開発した。常にユーザー認証を非接触で継続できるなどのメリットがあり、パスワードに頼るセキュリティ技術のほか、指紋や虹彩などを使う既存の生体認証技術より優れているという。
この技術は、気象観測などで利用されるドップラーレーダー技術を使い、心臓の形状などを測る。最初に約8秒スキャンしてユーザーごとに異なる心臓の特徴を把握したら、その後は継続的にスキャンして変化がないかどうか解析する。
ユーザーの識別には、心臓の形、大きさ、動き方を利用する。こうした心臓の特徴は、ユーザーが重大な心臓病を患わない限り変化しないため、認証に使えるそうだ。
指紋や虹彩などのパターンを利用する生体認証技術と異なり、非接触方式なうえ、ユーザーは受け身で認証されることから、ログインする際でも認証作業に煩わされないで済む。そして、常にユーザーを識別し続けるため、最初の認証後にユーザーが別人に入れ替わる不正行為も見逃さない。ユーザーが離れたことも認識でき、ロックやログアウトといった対応もユーザーに意識させず実行できる。
レーダーに使う電波の出力は5mWと微弱で、人体に無害だという。研究チームは、スマートフォンから放たれる電波の1%にも満たず、周囲にたくさん存在する無線LAN(Wi-Fi)用の電波に比べてもはるかに弱いとしている。
今後、研究チームはこの認証システムの小型化に取り組み、PC用キーボードの一角に組み込めるようにする計画。スマートフォンのユーザー認証にも利用できると考えている。また、最大30m離れた人をモニターできることから、空港での認証にも利用可能だという。
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