小池都知事が目指す環境先進都市--「東京は、世界をリードする存在へ」

 朝日新聞社は10月1~3日、東京千代田区のイイノホールと帝国ホテルで「朝日地球会議2017」を開催した。2008年から2015年まで毎年開催してきた「朝日地球環境フォーラム」を含め10回目を迎えるイベント。2016年に朝日地球会議へとリニューアルした。2017年のメインテーマは「分断から共存へ 私たちが進む未来」。世界各地で起きている分断をどのように乗り越えていくのかをパネルディスカッションや講演、スペシャルトークなどで繰り広げた。

東京都知事小池百合子氏
東京都知事小池百合子氏

 10月1日、東京都知事の小池百合子氏は「持続可能な環境先進都市・東京を目指して」をテーマに講演した。すでに取り組んでいるLED電球交換事業から、3年後に控えた東京オリンピック、パラリンピックに向けた暑さ対策、古い携帯電話から資源循環で作るメダルまで、環境の取り組みについて話した。

 小池氏は「『新しい東京』をつくる3つのシティの実現」として、安心安全なセーフシティ、女性、男性、子ども、高齢者、障害者も生き生き生活できるダイバーシティ、環境、金融の先進都市スマートシティの3つを「都知事としての大きな政策の3本柱」として紹介した。

 環境政策については「東京の成長戦略の中心と位置づける」とし、「意識を変える『心』、技術革新の『技』、制度の『体』の心技体の3つの要素が必要だ」と考えを示した。

 意識改革の具体例として、白熱電球を2個以上電気店にもっていけば、1つのLEDに変えてくれるLED電球交換事業を挙げ、「この事業で60Wの白熱電球100万個がLEDに換わると、年間の電力消費量が約9000万キロワット、CO2換算で約4.4万トンの節減ができる計算になる。これは新宿都庁舎の電力消費の約2年半分に相当する。LED化による節電はかなり大きな貢献ができ、さらに電気代が安くなるというおまけがついてくる」と紹介した。

 足下の改革を進める一方で、2020年の東京オリンピック、パラリンピックに向けても、数多くの環境先進都市としての施策を用意する。その1つが「CO2フリー水素の活用に向けた連携」だ。東京都では、2016年5月に福島県と産業技術総合研究所、環境科学研究所などと協定を締結し、CO2フリー水素の研究開発を推進。これには福島県の震災復興における後押しの役割も担っているという。

 小池氏は「3月から燃料電池バスが都内で走り始めた。2020年には都民の足としてはもちろん、国内外から東京に訪れたみなさまに水素エネルギーを活用している実際の姿としてショーケースの役割も果たす」と取り組みを紹介した。


CO2フリー水素の活用に向けた連携

 同じく交通手段として注目しているのが自転車シェアリング。東京都では千代田区、港区、新宿区、中央区、文京区、江東区の6区で自転車シェアリングを展開。区ざかいを越えた利用が進んでいる。

メダルは古い携帯電話から。エコなメダルを日本から発信したい

 オリンピック、パラリンピック開催時の心配ごととなる暑さ対策については路面の温度上昇を抑制する遮熱性の舗装を積極的に導入すること、日差しを遮る街路樹を活用することなどを考えているとのこと。自身が積極的に推進している打ち水に対しては「2017年はおよそ150団体、1万3000人の方々が実施してくれた。打ち水はとてもエコな江戸時代の知恵。水道水ではなく、お風呂の水などを活用していただくことで広げていきたい」とコメントした。

 「5000個以上が必要になる」というオリンピック、パラリンピックのメダルについては、使用済みの携帯電話を利用して作る。「メダルを古い携帯電話の都市鉱山から集めて作る。エコなメダルを日本から発信していきたい。すでに都庁に来られる方々は古い携帯電話をどんどんもってきてくださる」と、都庁における携帯電話の回収は定着しているという。


東京2020大会に向けた環境政策

 このほか、電気自動車普及のため、マンションなどの集合住宅における充電設備の支援策を検討しているとのこと。葛西・三枚洲を湿地の保存に関する国際条約「ラムサール条約」に登録することなどを目指しているとし、「自然は守ると同時に生かす」考えを示した。

 小池氏は、東京オリンピック、パラリンピックに向けた環境対策を発表し、「ホストシティとして、持続可能な大会のコンセプト連携して取り組んでいく」とした。また「気候変動を回避するために、国際協力が必要。環境は国境など関係のない分野。大都市が連携し、さらに競い合う必要がある。これからも東京は国内の環境対策を引っ張っていくのみならず、世界をリードするそんな環境先進都市を目指したい」と締めた。


環境先進都市・東京に向けて

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