ジャパンディスプレイは、10月1日から、カンパニー制を新たに導入するとともに、マーケティング&イノベーション戦略統括部を新設し、家電メーカーであるアクアの代表取締役社長兼CEOを務めた伊藤嘉明氏を、執行役員 チーフマーケティングオフィサーとして招聘することを明らかにした。
一方、スマートフォン向け液晶ディスプレイの「FULL ACTIVE」が、中国シャオミのスマートフォンに採用されたほか、2017年度第4四半期から2018年度第1四半期にかけて、FULL ACTIVEを搭載したスマホが、中国スマホメーカーから相次いで登場することを示し、「4辺のベゼルデザインのスリム化と、画面アスペクト比18対9が高く評価されている」(ジャパンディスプレイ 上席執行役員 モバイルカンパニー社長の永岡一孝氏)とした。
ジャパンディスプレイが経営再建に向けて、具体的な動きを開始した。成長戦略の中核を担うのが、FULL ACTIVEである。永岡氏は「2018年には、7~8割がFULL ACTIVEになる」と予測する。
量産化を開始したのは、スマートフォン向け6型液晶ディスプレイで、4辺のベゼルデザインのスリム化により、画面アスペクト比18対9を実現。表示画面とほぼ同じサイズの商品デザインが可能になるため、ユーザーインターフェースの自由度を拡げ、新たな商品価値の創造に貢献できるとする。
高密度な配線レイアウトと、蓄積した加工と実装技術により、幅広であった画面下部のベゼルを大幅に縮小。独自技術により、タッチセンサ機能をディスプレイに内蔵し、狭額縁化や、黒の表現力の向上、濡れた手で触れても誤動作しにくいといった特徴も持っている。
中国スマホメーカーでの採用が先行しているが、車載メーカーからも引き合いが出ているという。
「額縁が狭い車載用ディスプレイとしてFULL ACTIVEの技術を採用したいという声もあがっている。FULL ACTIVEは、さまざまな分野に応用できるものであり、長期間に渡り、当社のディスプレイビジネスを支える重要なデバイスになる。この基盤技術を発展させ、ここに新たな技術を搭載するといったことも考えている」とした。戦略的製品により、成長戦略を描くことになる。
一方、カンパニー制の導入は、6月にジャパンディスプレイの会長兼CEOに就任した東入來信博氏が打ち出した新たな構造改革において、肝となる施策の1つだ。
構造改革では、「第二の創業」と位置づけ、利益をしっかりと確保できる「新生JDI」の構築を目指す「選択と捨象」と、収益構造の変革を実現するとともに、新分野への成長戦略を加速する「破壊と創造」を打ち出し、「破壊による構造改革と、新たな収益構造への変革(創造)を同時に推進する」と宣言している。
2019年度には営業利益400億円以上、営業利益率5%、フリーキャッシュフローで300億円以上を目指しており、それに向けて、2017年度中に構造改革をやり終え、「稼げる筋肉質」の体質へと転換。2018~2019年度には、液晶ディスプレイの「FULL ACTIVE」と、「車載」を柱とした収益構造を確立するとともに、2019年度には有機ELの量産を開始し、有機EL市場におけるリーディングカンパニーを目指す方針だ。
今回、発表したカンパニー制の導入は、これらのビジネスを加速するための体制づくりともいえ、属性の異なる顧客カテゴリ別に分けるとともに、権限を大幅に委譲。収益責任を持たせるとともに、意思決定の迅速化による経営のスピード化を目指す。
現在、同社売上高の約8割を占めるスマホ向け液晶ティスプレイを中心としたモバイルカンパニー、新たな収益の柱とする車載向けディスプレイを扱う車載インダストリカンパニー、そして、ソリューションを提案するディスプレイソリューションズカンパニーの3つのカンパニー体制を確立。COO直下でスタートする蒸着方式の有機ELパネル事業を担当するOLED事業開発統括部も、将来的には、モバイルカンパニーのなかに組み込む計画を示した。同時に、420あったポジションを280に削減し、組織をスリム化し、意思決定を速める。
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