アスカネットは9月28日、「AI(Aerial Imaging)空中ディスプレイ」の体験イベントを開催。量産を可能にした新素材プレートを公開した。
AI空中ディスプレイは、アスカネットが手がける「AIプレート」を用いて、高画質、高輝度の空中映像を実像として結像できるというもの。アスカネット代表取締役社長兼CEOの福田幸雄氏は「擬似的なものではなくて、存在する映像を映し出せることがポイント。そのため出てきた映像に虫眼鏡をあてるとその場で拡大ができ、タッチディスプレイとしても使用できる」と特徴を説明する。
AIプレートには短冊状のガラスの壁面を鏡にして、2枚を交差させ、1枚のプレートにしたものを採用していたが、量産化が困難だったとのこと。今回、新素材である樹脂製のプレートを採用することで、量産化に成功したという。
樹脂製のプレートは、特殊な樹脂に独自のリブ構造を成型し、その垂直面を蒸着して垂直のミラーを作成。リブの成型がなかなか上手くいかなかったが、今回リブの形状を大きく変えることで、精度の高い反射と大量生産ができる製品になったという。
サイズは一辺が10〜20cm。ガラス製のAIプレートが10〜100cmまで作れることに比べると小さいため、車載用やATM、医療現場などへの用途に最適としている。
AI空中プレートは、展示会などで高い注目を集めており、すでに旅行代理店の店頭や、化粧品メーカーなどでカウンターテーブルやデジタルサイネージとして使われた実績を持つ。海外からの引き合いも多く、「大きなサイズのものを大量に用意してほしい」という希望が多いとのこと。福田氏は「大量生産が難しいため、お断りしている状態」と現状を説明する。
アスカネットは、10月3〜6日に千葉・幕張の「幕張メッセ」で開かれる「CEATEC JAPAN 2017」にAI空中ディスプレイを出展する。ブース内では、等身大の人物や物体を空中に立体表示する「3D-DELZO(スリーディー・デルゾー)」、お互いの目線をあわせてチャットができる「IMATCH(アイマッチ)」、物体をCG化して遠隔地への画像転送を想定した「Telepo(テレポ)」などを展示。さらに、歩行中の壁面から空中映像が飛び出してくる「5画面連続大型壁面空中サイネージ」も披露する。
福田氏は「AI空中ディスプレイが、ようやく世の中に出るようになるかなという感じ。今後は、ターミナル駅地下街の大型サイネージや水族館の展示説明サイネージなど、さまざまな市場、用途への利用を推進していく」と今後の展開を話した。
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