“音”で機械の異常を検知できるアプリ「スマート聴診棒」

 スカイディスクは9月21日、AI(人工知能)を活用し、スマートフォンのマイク機能を使って収録した「音」により、機械の良否判定ができるアプリ「スマート聴診棒」のベータ版体験企業の募集を開始した。


 聴診棒は、モーターやポンプに代表される回転体を含む機器の巡視点検時に利用される棒状の器具。片端を機器に、もう片端を技術者の耳にあて、骨振動による機器の異常検査を行う際に利用されている。

 異常診断はそれぞれの機器から発せられる固有の振動音を聞き分けるという高度な技術を要するため、熟練の技術者へ専任する必要がある。同社によると、法律や社内規定により、人による機器の定期的な点検が義務付けられているものの、技術を身につけるには長い経験が必要となるため、高齢化する技術者から、経験に培われたノウハウを効果的に継承することが課題となっていた。

 今回リリースするスマート聴診棒は、機械から発せらせる「振動音」を3秒間、スマートフォンを機器にかざして収録するだけで、誰でも故障予知ができるようになるサービス。


 事前準備として、専用のスマートフォンアプリを立ち上げ、異常を事前に検知したい機器から20分間ほど振動音のサンプルデータを取得。取得した振動音データを、AIで処理しやすいデータに変換し、AIによって学習モデルを作成。アプリへとインストールする。その後は、対象の機器に3秒間かざすだけで、機械の状態が正常か異常かどうかをその場で判定できるようになるという。

 なお、アプリを使った学習モデルの作成には対応していないため、学習モデルは同社が作成するという。また、学習モデルの作成工数は、データの内容に依存する。AI学習モデルをインストール済みのスマートフォンであれば、オフライン環境でも異常診断を行うことが可能。

 スカイディスクは、以前より大手電力会社向けに、音のデータを活用したAIによる予兆保全サービスを提供。正常データから異常データをシミュレーションするノウハウ・学習済みのAIモデルを保有していた。その学習済みのAIモデルをスマートフォンのアプリに取り込んだことで、スマートフォンのマイクを使って機械の音を録音し、異常診断が可能になったという。


 同社では本格サービス開始の前にベータ版の体験企業を募集しており、企業は音を使った異常検出やWAV形式での録音といった機能を試すことが可能。対応OSは、Android 5.0以降。録音に使うマイクのサンプリングレートは、44100Hz以上。

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