ニコンやキヤノン、富士フイルムといった世界の従来のカメラ企業と異なり、iPhoneの強力なCPUを写真処理に応用するというAppleの進化は、現在実用化されているものの中で最も素晴らしいコンセプトだと彼は考えている。「Appleはコンピュテーショナルフォトグラフィの分野で、従来の企業が怠ってきたことを実行している」(James Martin)
動画の画質も極めて素晴らしい。新しい写真フォーマットと動画フォーマットへの移行により、60fpsでの4K動画撮影、1080p/240fpsでのスローモーション動画撮影が可能になっている。スローモーション動画の画質は特に驚異的だ。
8 Plusのカメラは素晴らしいが、1つ困ったことがある。スペックを見る限り、iPhone Xのカメラの方がさらに高性能であることだ。iPhone Xでは、2つの背面カメラの両方が光学手ぶれ補正を備える(8 Plusでは、メインのカメラのみ)。さらに、iPhone Xの望遠レンズの絞り値はf/2.4で、8 Plusのf/2.8よりも明るい。iPhone Xだと、本体前面の「TrueDepth」カメラでもポートレートモード機能を利用できる。これも、iPhone Xの実力が明らかになるまで待つべきだと思わせる要因の1つになっている。
Appleによると、同社の新しいA11 Bionicチップ(と新しいモーションプロセッサ、グラフィックス、カメラセンサ、画像信号処理)はiPhone 8と8 Plus、Xのすべてで同様だという。われわれのベンチマークでは、8 PlusのA11のクロック速度はiPhone 8よりわずかに高速だった。8 Plusは3GバイトのRAMを搭載するのに対し、iPhone 8は2Gバイトである。iPhone Xのパフォーマンスは現時点では不明だが、AppleはiPhone Xの速度も同様の水準だと約束している。
この6コアプロセッサには、2つの高速コアと4つの低消費電力コアが含まれる。マルチタスキングテストでは、2016年の「A10」を大幅に上回る成績を記録した。「Geekbench 4」のテスト結果は、ほかのすべてのスマートフォンを上回った。注目すべきなのは、Qualcommの「Snapdragon 835」よりも優れていたことだ。これは極めて大きな速度のアップグレードである。iPhone 8/8 Plusでは、マルチタスキングの速度がA10の2倍になると考えていいだろう。
Appleは、A11を端末上での機械学習(例えば、「iOS」が写真ライブラリで実行しているようなこと)に使用することや、サードパーティーのアプリがA11を利用できるようにすることを計画している。さらに、拡張現実(AR)も考えている。iOS 11にはARアプリがあるが、それらのアプリは新型iPhoneを購入しなくても利用できる(「iPhone 6s」以降のiPhoneがサポートされる)。「ARKit」テクノロジはバーチャルの物体を現実世界内に浮かべる、といった驚くべきことをいくつか実行できる。Googleも1年前、ARテクノロジ「Tango」で同様のことを行っている。
ただし、筆者は比較のために古いiPhoneモデルでARKitによるアプリを試す機会をまだ得ていない。ARに関して、新型iPhoneは古いiPhoneよりどれだけ優れているのだろうか。筆者には分からない。そもそもARが目新しいテクノロジであることを考えると、おそらく読者の皆さんも分からないのではないだろうか。ARだけでは、iPhone 7からアップグレードする理由にならない。しかし、これだけ高速なチップには、本当に途方もない可能性が潜んでいる。次期「iPad」は並外れたものになるだろう。
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