「独自の半導体なしに参入はなかった」--激戦の仮想通貨マイニングに挑むGMOの勝算 - (page 2)

既存のビットコインコミュニティから「学ばせていただく」

 熊谷氏は、仮想通貨について「インターネットは情報の境界線をなくした。同じように、仮想通貨は、お金の境界線を世界から取り除き、世界の金融ビジネス、世界のあり方を変える」と、可能性について言及。このタイミングでの参入については、「仮想通貨は2年前から研究しており、2016年はGMOコインの営業を開始している。マイニング事業については、最適な場所が見つかったこと、チップ開発のめどが立ったことから今が参入のタイミングとして最適と判断した」という。


GMOインターネット代表取締役会長兼社長の熊谷正寿氏

 仮想通貨の魅力については、「インターネットに成長性を感じてワクワクした。うまく言えないが仮想通貨にも同じものを感じた。以前見た図とまったく同じことが仮想通貨業界に起こっている。関与する人たちの盛り上がり、広がり方、当時のネットに近いものを感じる」とし、「国際送金をする場合には、SWIFTという国際送金ネットワークが独占している。海外で決済する場合に、基軸通貨のドルが世界標準であり、送金ネットワークも一つしかない。それを快く思っている人がどれだけいるのか。この状況が不便と思う限り、仮想通貨は伸びると思う」と述べた。

 IT企業による半導体設計はあまり例を見ない。熊谷氏は「半導体企業を目指すわけではない」としつつ、「Bitmainは、チップから開発してマイニングを開始しており、結果としてシェアが高い。彼らからチップを購入してマイニングを開始することもできるが、それだと勝つことはできない」と述べ、「チップの開発がなければこの事業には参入しなかった」と性能の高さを強調。「マイニング事業はシンプルな業界。一番安価でデータセンタに向く場所と、(最適化した)チップがあればその勝負には負けないと思う」と説明した。

 また会見では、ビットコインのコミュニティに対し「学ばせていただく立場」であることを複数回強調していた。「新参者であり、ビットコインコミュニティの成長、仮想通貨業界の成長にシンプルに貢献したい」とし、「インターネットが始まったばかりの1995年当時もコミュニティが存在した。そういうコミュニティから素直に学ばせていただいて、GMOという会社がある。コミュニティに入って発言力を持ち、政治的な動きをしたということはない。今回の仮想通貨も同様」と述べた。

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