2016年11月にリリースされた「eCareApp」は、認知症の人を介助する家族とヘルパー、専門家らがアプリで患者の健康状態などを記録、共有し、よりよい介助方法について話し合えるサービス。海外からでも参加できるため、離れて暮らす家族も一緒に介護をサポートできる。
シンガポールでは、日本と同じく高齢化が深刻な問題となっている。同政府の調べによると、2030年までに65歳以上の高齢者が人口の19%を占め、一人暮らしをする高齢者の数は8万人に達すると言われている。
eCareAppの特徴は、認知症患者の家族だけでなく、ヘルパーや高齢者施設のスタッフ、医師が一体となり、タスクや日々の様子などを共有できること。家族やヘルパーは、専門家とのコミュニケーションを通して、認知症の症状や対応について知識を増やせる一方、医療機関側も詳細な記録をもとに、よりパーソナライズしたケアプランを提案できる。
同アプリは現在、クラウドファウンディングサービスのKickstarterで、約15万シンガポールドル(約1200万円)の資金調達キャンペーンを実施中。アプリは無料でダウンロードできるが、サービス利用は定額制になる予定だ。2018年には、中国、タイ、マレーシア、日本、スペインなど、高齢化が進む地域への拡大を予定している。
これらのヘルスケア系アプリは、患者にとっての医療体験の質向上はもちろん、医療従事者らの事務作業を軽減し、介助や治療により専念できるようにすることも目的にしている。蓄積されたビッグデータを治験などに利用し、医療研究に役立てることもできるだろう。日本でも、各企業、機関が連携し、真に医療機関の抱える課題を解決に導くサービスが生まれ、浸透していくことを期待したい。
(編集協力:岡徳之)
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