この大がかりで大胆な実験的製品については、語るべきことが多すぎて、どこから話し始めればいいかわからない。そう、「Essential Phone」のことである。
何日か使ってみた経験から、まずこれだけはお伝えしよう。チタンとセラミックを使った筐体は美しく、外観も手触りも高級感にあふれている。背面にはデュアルカメラを備え、筆者の最初のテストでもその性能は悪くなかった。ストレージも余裕があり、画面は明るく鮮やかだ。価格は699ドルとなっている。
だが、Essential Phone(正式には「Essential PH-1」)を際立たせているのは、背面にある2つの小さな端子だ。ちょうど、吸血鬼の噛み跡のように見える。モジュール式のアクセサリに対応するマグネットコネクタで、これこそがEssential Phoneの真髄である。無線で取り付けも簡単な上、本体から電源を供給することも、その逆も可能だ。
この辺で、しばし時間をさかのぼることにしよう。これも大切な話だからだ。Essential Phoneは、Andy Rubin氏の率いる新会社Essentialが世に送り出す最初のデバイスとなる。Rubin氏は、Android社の共同創設者の1人で、2005年から2013年までは、同社を買収したGoogleで「Android」の顔となった。だからこそ、同氏が発表したスマートフォンが、ひときわ大きな話題となっているのだ。しかも、市場にはすでに、盤石の競合他社がひしめいている。サムスン(「Galaxy S8」や、先週発表された「Galaxy Note8」)、Google(「Pixel」と、発表間近とされる「Pixel 2」)、LG(「G6」と、発売の近い「V30」)、Motorola(「moto z2 force edition」と「Moto Z2 Play」)、Nokia(「Nokia 8」)など、そうそうたる顔ぶれだ。Essentialは、どのようにしてこの競争を切り抜けるつもりなのだろうか。
Rubin氏のチームは、Essential Phoneのモジュール式アクセサリが、熱狂的なAndroidファンの心をくすぐるだろうと踏んでいる。ハイエンドのAndroid端末を、物理的に本体に取り付けられる交換式のアクセサリでカスタマイズできるからだ。今のところ、360度カメラしかないが、Rubin氏と同氏のチームは、たくさんのアクセサリと、それをサポートする強力なソフトウェアから成るエコシステムを思い描いている。Essentialは、リビングルーム向けのスマートスピーカ「Essential Home」も計画しており、これもEssential Phoneのアクセサリと連動することになる。
この実験的な製品が危ぶまれるのは、モジュール式という試みが、業界では直近で4社目であり、そのコンセプトがどれも成功していないからである。GoogleとLGも、モジュール式のスマートフォンを発表して失敗に終わっている。Motorolaはまだ持ちこたえているが、Zシリーズでは本体の背面が全面的にふさがれてしまう。その点、Essentialの背面の2穴マグネット式コネクタは新しいアプローチだ。より自由度の高い形状と使い方が生まれるかもしれない。
総合的に、この試用機はしゃれていて、好ましいと思う。ただし、カメラ部分は機能がそぎ落とされすぎている。ソフトウェアにバグがあるため、仕上がりが不完全であるように感じた。Essentialによると、この最終直前バージョンのカメラソフトウェアで筆者が確認したバグは、ほとんどがすでに対処済みだという。また、購入者の端末も、特に内蔵カメラと360度カメラアクセサリについてはアップデートを予定している。ということで、米CNETとしての最終評価も、完成形が登場するまで控えることにしよう。本記事も、最終的な意見ではなく、プレビューと考えてほしい。
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