ソニーとソニー・グローバルエデュケーションは8月9日、複数の教育機関のデータを一元的に管理し、信頼性のある学習データやデジタル成績証明書などの登録・参照を可能にするシステムを開発したと発表した。ブロックチェーン技術を応用した「学習到達・活動記録をオープンかつ安全に相互利用する技術」を用いているという。2018年のサービス展開を目指す。
新開発したシステムは、改ざんが困難な形で事実情報を登録する機能と、登録情報へのアクセスコントロール機能を持っており、権限付与した第三者に信頼性の高い情報を開示できるという。ソニー・グローバルエデュケーションは、この新しいシステムの上で、複数の教育機関がデータを活用できる新たな教育・学習サービス基盤を構築する予定。
このシステムは、米国IBMが提供するIBM CloudおよびLinux Foundationが提唱するHyperledgerプロジェクトの1つであるブロックチェーンのフレームワーク、Hyperledger Fabric 1.0を活用するIBM Blockchainに実装され、教育データの利用権限を認証・制御する機能と、それらを操作するための教育機関向けのアプリケーションプログラミングインタフェースを兼ね備えているとのこと。
現在、教育機関では、児童や生徒の学籍・出欠・成績管理や、教師の授業計画管理からなる「校務系システム」と、学習コンテンツ全体、児童・生徒の学習記録・結果などからなる「学習系システム」によって管理運営をしている。新開発のシステムを利用することで、教職員が利用する校務系システムと、児童・生徒が利用する学習系システムの提供事業者が異なる場合でも、蓄積されてきたデータをそのままに、安全に統合・連携できるとしている。
また、新システムによるサービスで、利用者(教育機関・教師と、児童・生徒・保護者)は、教育機関が発行した複数の成績データや学習・行動記録をもとに、デジタル成績証明書を別の評価機関に安全に提供できるようになるという。複数の成績データや学習・行動記録を、ある評価機関が人工知能(AI)で解析して、教育機関の授業計画・運営の改善案・プログラムを提供することなども考えられるとしている。
ソニー・グローバルエデュケーションでは、世界規模で算数・思考力を測定するコンテスト「世界算数(Global Math Challenge)」を開催してきた。2017年中に開催する第5回世界算数では、この新システムを利用し、試験結果をブロックチェーンに記録することで、改ざんが困難な信頼性の高いデジタル成績証明書を実験的に発行する予定だという。
なお、新開発したシステムは汎用性が高く、IoT分野における機器制御やデータ管理、物流分野におけるバリューチェーン内の契約管理、デジタルコンテンツ分野における権利情報・配信記録管理、シェアリングエコノミー分野における所有権・利用権管理、仮想通貨分野における通貨・ポイント管理や身分証明全般など、幅広い領域で活用できると考えているという。
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