Microsoftは、中国の認証局(CA)であるWoSignと傘下のStartComのセキュリティの低さに辟易したようだ。「Windows 10」で両社の新しいセキュリティ証明書を無効にするという。
CAとは、インターネット上のデジタルエンティティの身元を証明するX.509デジタル証明書を発行する信頼された機関だ。証明書には、所有者の公開鍵と名前、証明書の有効期限、暗号化方法など、その公開鍵所有者に関する情報が含まれる。一般的には、SSL/TLS(Secure Sockets Layer/Transport Layer Security)によってインターネット通信を暗号化するhttpsプロトコルを利用する安全なウェブサイトや、仮想プライベートネットワーク(VPN)によって使用される。不正な証明書では、何の保護もされていない状態にほぼ等しい。不正な証明書を利用して、ウェブサイトや「プライベート」のインターネット通信を簡単にハッキングすることができる。
WoSignとStartComは1年ほど前に信用を落とした。SSL Labsによると、2016年10月の時点で「各種ブラウザベンダーは、WoSignの『技術的および管理的能力』を信頼できないと判断した。加えてWoSignは、不正を指摘されて、一貫して虚偽の主張を続けた」という。残念ながら、2つのCAを利用するユーザーは多い。無料で証明書を提供していたことがその主な理由だ。
「これら2つのCAブランドが新たに発行する証明書は信頼しない」と最初に発表したウェブブラウザ企業はMozillaだった。Mozillaに続いてGoogleが2017年7月に、これら2つのCAが発行した証明書は今後信頼しないとした。AppleもWoSignの証明書を信頼しないことを表明している。
Microsoftは、「『NotBefore』(有効期限開始日)の日付を2017年9月26日に設定することで、WoSignとStartComの証明書を自然な形で無効化する措置を開始する。つまり、既存の証明書はすべて、それぞれの有効期限まで正しく機能し続ける。Windows 10では9月以降、これらのCAによる新しい証明書を信頼しない」という。
WoSignの証明書をおそらく今後も信頼するであろうウェブブラウザの1つが、Operaだ。Operaブラウザは2016年、Golden Brick Silk Roadを中心とする中国企業のコンソーシアムに買収されている。このコンソーシアムには、北京のモバイルゲームベンダーであるKunlun TechやQihoo 360が名を連ねており、WoSignとStartComはQihoo 360の傘下にある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」