英語力を身につけようと日々、勉強に励んでいる人でも、全員が同じ状況ではないはずだ。TOEICで目標点数を取らなければいけない人、急に海外のお客様と英語でやり取りしなくてはならない人、情報収集のために英語の記事をたくさん読む必要のある人など。重要なことは、自分の現在の英語力を正しく把握し、目的に合った教材を選択するということ。そこで今回は、目的が明確に分かれた英語学習書を5冊紹介する。教材選びの参考にして欲しい。
ビジネスパーソンの場合、TOEICで高得点を取ることを目的として、英語を勉強しているという人も多いと思われるので、まずは、TOEIC対策を目的とした学習書だ。「TOEIC対策」とは言っても、結局は、英語の総合的な力が向上しなければ、高得点も取れないわけだが、本書は、とくにリーディングパートの点数が伸び悩んでいる人にお勧めだ。
文法項目別に解説がまとめられているほか、「よく出る!」「ここを覚えよう」などの小見出しで要点がまとめられているので、文法の総復習をしたい人や、自分の弱いところを探して強化したい人にとって、とても参照しやすい。ひとつひとつの項目が、非常に丁寧に説明されているため、文法的に分からないことを聞く人がいない場合の独習にも、役立つだろう。
次は、「なかなか語彙が増えない」と悩んでいる人に、劇的に語彙力を伸ばす方法を提案してくれる1冊。タイトルに「語源マップ」とある通り、単語を「語根」「接頭辞」「接尾辞」などの共通要素を元に、ネットワークで覚えていくための本だ。たとえば、「pose(置く)」から派生する「transpose」「suppose」「purpose」などを元に、その派生語や関連語をまとめて覚えるのだ。
語源を解説した書籍には、英語のネイティブスピーカーのためのものが多いが、日本人向けとなると数は少なく、さらにここ数年の新刊では1~2冊ほどしかない。そのような状況であるため、本書は貴重だ。単語帳というより辞書に近いので、最初から1ページずつ読んでいくのは、挫折する可能性が高い。興味を持った項目から攻めていくのがいいだろう。
「もちろん、徐々に英語力を伸ばしてはいきたいが、すぐに英語で話せるようにならないと困る」人には、本書だ。3カ月後や半年後など、具体的な期限を設けて、どんな風に話せるようになりたいかを具体的にイメージし、そのために必要なことを、とにかくどんどん実行していく。迷っている暇はないのだ。
単語ひとつにしても、「自分の仕事」に直結する単語を中心に、自分専用の単語帳を作って覚える。自分の職務について説明できるようにする。会社の業務について、相手に説明できるようようにする。こうして、今日にでも「自分の仕事に使える英語」を身につけるのだ。本書には、そのための教材の選び方、教材の使い方、訓練の仕方などが分かりやすく書かれているので、実行に移しやすい。
長い英文を読むときに、「こう習ったから」という思い込みが邪魔をすることがある。習ってきたことも、もちろん大切なことではあるが、そればかりではない英文の読み方を知ることで、一気に「読める」ようになることもある。本書は、予備校で教えている著者が、英文をもう少し楽に読めるようにと書いた、英文読解力を身につけるための本だ。扱われている英文は、「主に大学入試として使われたもの」とのことだが、だから簡単だというわけではない。
大量の英文を読み解くような本ではないため、すでにある程度の長文(大学入試やTOEICの問題程度の長文)は読めるが、「正確に読めているか自信がない」「文章の意味がなんだかちゃんと理解できていない気がする」という人が、視点を変えて読めるようになるきっかけをくれる。
最後に、長い目で見て総合的に英語力をアップさせていきたいという人にお勧めの雑誌を紹介したい。この「多聴多読」マガジンは隔月刊で、さまざまなレベル向けに、多読に適した素材が掲載されている上、魅力的な音声が聴けるCDも付属している。1分間に80語程度のゆっくりしたスピードの素材から、1分間に190語の速いスピードの素材まで、多種多様だ。
2017年4月号をとりあげたのは、「はじめよう!英語多読」という特集が組まれており、これから多読を始める人に向けて、詳しいやり方の解説があるほか、お勧めの本もピックアップされているからだ。1冊をフルに活用すれば、リーディング、リスニング、ディクテーション、シャドウイングなど、英語力を総合的に鍛えることができる。楽しく、長期的に続けられる方法を探している人にぴったりだ。
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