グリーは8月3日、2017年6月期通期(2016年7月~2017年6月)の連結決算を発表。売上高は653億6900万円(前年同期比で6.5%減)、営業利益は79億9700万円(同43.8%減)、経常利益は100億3500万円(同4.7%減)、純利益は121億1600万円(同44.2%増)となった。
四半期ベースで見ると、第4四半期は売上高が192億3000万円(前四半期比で33億5000万円増)、営業利益は24億1000万円(同8億6000万円増)、経常利益は28億5000万円(同20億円増)、純利益は21億5000万円の赤字(同37億2000万円減)。北米タイトル不振に伴う減損や、海外事業の戦略転換による海外拠点の閉鎖などで純利益は赤字となったが、売上高や営業利益は増収増益を続けている。
主力としているゲーム事業において、この第4四半期は傘下のポケラボを含めて4本の新規タイトルをリリース。「アナザーエデン 時空を超える猫」、「SINoALICE ーシノアリスー」、「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか~メモリア・フレーゼ~」、「戦姫絶唱シンフォギアXD UNLIMITED」のいずれも好調で、特にアナザーエデンとシノアリスがけん引したという。いずれもアプリストアのセールスランキングも上位に入ったほか、国内ネイティブゲームにおけるコイン消費が前四半期の54億コインからほぼ倍増の100億コインまでに伸長した。
かねてからゲーム事業ではネイティブシフトの取り組みを始め、2017年度はリリースラッシュをかけてゲーム事業を反転させることを方針に掲げていたが、この第4四半期でウェブゲームを含めた全体のコイン消費も増加に反転し、コイン消費の構成もネイティブゲームが50%を超えるなど、実を結ぶ形となったとしている
中期的な事業方針としては、引き続きゲーム事業を収益基盤として継続的に成長させていくことに加え、広告・メディア事業を第2の柱として規模を拡大、そして第3の柱となる新規事業の創出もあわせて図っていく考えを示した。これをふまえ、2018年度は、飛躍に向けた積極攻勢や戦略的投資を行う方針を示した。
ゲーム事業においては「エンジン×IP×グローバル」を戦略として掲げる。ヒットタイトルの技術基盤(エンジン)を活用し、効率化した分のコストをコンテンツなどの作りこみに当てるなどしてより良いゲームを素早く展開。IP(知的財産)については自社資産として中長期的な育成を行うオリジナルIP、パートナーとともに新規創出する共同原作IP、固定ファン層に向けた他社有力IPをバランス良く活用して、ヒット確度と収益性の向上を図る。そして海外展開は国内タイトルのグローバル展開をする方針に舵をきり、世界でも通用するIPの創出や活用に取り組んでいくという。
広告・メディア事業については「アプリ×オリジナル動画×継続投資」を掲げ、継続率の高いメディア運営体制の構築や、高品質な動画作成ノウハウを蓄積しメディア力の拡大に向けて投資を行っていくとしている。グリー代表取締役会長兼社長の田中良和氏は「ゲーム事業もネイティブシフトを決めて、粘り強くやり続けたからこそ実を結んだ。広告事業も粘り強くやって大きく成功させる」と語る。
2018年度第1四半期の業績予想は、売上高205億円、営業利益15億円、経常利益15億円、純利益10億円を見込む。売上高は2017年度リリースタイトルの貢献が期待できることもあり増収の一方で、営業利益と経常利益は、広告宣伝費を積極的に投下することから減益を見込むとしている。同席していたグリー取締役執行役員常務の秋山仁氏は「ネイティブゲームのヒットを一過性のものにせず、長期的な視点で収益化させて企業価値の向上に努める。ここは積極的に広告宣伝などに使い、積み上げを図りたい」と説明した。
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