Amazon.comは、書店チェーン「Amazon Books」を各地でオープンさせ、実店舗の運営にも乗り出した。食料品チェーンのWhole Foods Marketを買収する動きも、生鮮食料品を取り扱う実店舗「AmazonFresh Pickup」開店という観測を裏付けるかのようだ。
巨大オンライン通販(EC)業者であるAmazon.comが実店舗を運営する目的は、単なる事業拡大、アンテナショップとして利用、顧客との接点拡充など、いくらでも思いつく。実店舗には、顧客が実際の商品を手に取り、質感を確かめたり試着したりできるメリットもある。
ただし、Amazon.comは拡張現実(AR)技術を活用することで、ECでも実店舗に引けを取らない仮想的な試着サービスを提供できるかもしれない。同社傘下のAmazon Technologiesが、仮想試着のリアリティ向上技術を考案して米国特許商標庁(USPTO)へ出願したところ、米国時間7月25日に「AUGMENTED REALITY PRESENTATION」(特許番号「US 9716842 B1」)として登録された。出願日は2013年6月19日。
この特許は、スマートフォンやタブレット、PCなどのカメラ搭載デバイスで撮影したユーザーの画像と商品画像を合成して画面に表示し、商品を試着しているかのように見せる技術を説明したもの。その際、周囲も同時に撮影し、商品の表面で反射しているようすをシミュレーションすることで、商品への映り込みまで再現する。これにより、仮想試着のリアリティを向上させ、EC経由で購入された商品の返品率などを下げられるという。
実施例には、スマートフォンの背面カメラで背景を、正面カメラでユーザーの腕を撮影し、これらの画像と腕時計の画像を合成する手順が記載されている。腕時計の風防には、背景の画像が写り込んでいる。など、スマートフォンを鏡のように使うことから「ミラーモード(mirror mode)」と名付けられた。
別の実施例には、スマートフォンの背面カメラだけで背景と腕を撮影して合成する手順の説明がある。この「非ミラーモード(non-mirror mode)」では、腕時計に写り込む背景画像の向きがミラーモードと異なる部分まで再現される。
商品としては腕時計以外に、サングラスやアクセサリ、家具など、ある程度の映り込みが起きるアイテムであれば、この技術の適用対象となる。また、アイテムの種類に応じて、合成する画像もユーザーの腕から顔や頭に変わるし、部屋の一部を合成対象にする可能性もある。
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