VAIOは8月1日、VAIO設立から3周年を迎えるとともに6月に行った社長交代を受けて、経営方針説明会を開催した。
新たに代表取締役社長として就任した吉田秀俊氏は、2016年度の決算について「営業利益は前年対比で3.2倍、嬉しい3周年を迎えた」とあいさつした。
またこの3年間を振り返り、大きな実績として(1)VAIOがつくるPCの再定義、(2)営業部の設立と、製品企画から設計、製造、品質保証、マーケティング、営業、修理・サポートまで一貫した機能を備える企業としての会社づくり/カスタマイズやヒアリングなど法人需要に対する体制の整備、(3)EMS事業の立ち上げと成長領域への発展──の3つを挙げた。
VAIOは、コンシューマ向けのPCのみならず、新たに法人向けの販売体制を整えることで、売上げを伸ばしてきた。一方で、PC事業だけでは厳しいという現実から自身が持つモノ作りの経験と工場を活用して、受託(EMS)事業も開始した。
EMS事業について吉田氏は、「2015年度は立ち上げたばかりなので営業利益は赤字だったが、ようやくトントンになった。よく3年でお客様がついてくれたというのが感想。安曇野で培ってきた信頼があって、(企業から)声がかかったことがVAIOにとって幸せなこと。お客様のおかげ。本来、EMS事業は黒子として立ち上げた事業。普通は表にでないが、当社のお客様は製品を出すときに『VAIOの名前を出したい』『出してもいいよ』とおっしゃる。普通のEMS事業ではありえないこと。パートナーとして認めていただけている」と語った。
今後の発展に向けては、VAIOのブランド価値、企業価値を高めることが重要だと説明。従来どおりのPC事業戦略とNB(New Business)事業戦略に加えて、新たにPC事業における中国市場の進出と、第三のコア事業としてVRソリューション事業を開始すると発表した。
販売戦略として、PCの海外販売地域を拡大し、中国に進出する。8月8日より、売上高では中国最大というEコマースサイトJD.COM(京東商城)にて、順次販売を開始する。
VAIO PC事業の海外販売地域は、すでにスタートしている米国、ブラジル、アルゼンチン、チリ、ウルグアイに加えた中国で6カ国となる。
販売予定モデルは、VAIO Z クラムシェルモデル、および、VAIO S13。VAIO Zは、VAIOの里として知られている長野県安曇野市の自社工場で最終チェックまで行われる「安曇野FINISH」モデルで、低価格PCが普及している中国で、あえて高付加価値製品を展開する。
「この3年間でなくなりつつあった“VAIOのブランド”の火を灯して、再び新たに海外に進出していく。単に国内のVAIOではなく、世界のVAIOブランドであるという位置付けを忘れないための重要な進出。復活にあたっては、ハイエンドから攻める。もともとあったVAIOのポジションを別のメーカーにとられている。そこを丁寧に、長期戦略でいくことはJD.COMとも合意をとっている」(吉田氏)
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