長年勤めた会社から突然の解雇通告。そこからの転職に次ぐ転職で、ようやく面白そうなことができるかもしれない、しかも、ひょっとするとIPOの恩恵にあずかれるかもしれないという期待からの絶望。本書は、ある企業の内情を暴露する本ではあるが、1人の男性の人生の悲喜こもごもでもある。まったく自分とは関係のない話とも言い切れず、こんなことが自分の身に起こったら、とオソロシイ想像で鳥肌がたってしまう。
シリコンバレーのスタートアップで働いてみるのもいいかもしれない、と著者が思ってしまったのも無理はない。自分にもそんな機会が訪れたら、これはまたとないチャンスだと思うだろう。しかし、実際には……。本書では、著者がスタートアップに入ることになった経緯から、辞めるまでの体験が書かれているが、エピローグまで目が離せない。なんと、本を出版する直前にも事件は起こっていたのだ。
必ずしも、こんなスタートアップばかりではないはずだが、何かを勘違いした起業家が経営する会社にありがちなことも数多く描かれており、思わず声を出して笑ってしまう。こういう会社でも、IPOに成功するという摩訶不思議を追体験できるという意味でも読む価値がある。
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