久々の“減益”となったドコモの決算--auの新料金には追随せず

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 NTTドコモは7月27日、2017年度第1四半期決算を発表した。2016年度まで増収増益の好業績を続けてきた同社だが、今期は営業収益こそ前年同期比2.5%増の1兆1367億円と伸びているものの、営業利益は7.0%減の2783億円と久々の増収減益となった。

 同日に開かれた決算説明会で、NTTドコモ代表取締役社長の吉澤和弘氏は減益の要因を説明した。1つ目は、2016年に償却方法を見直したことにより、増益となったことの反動によるもの。その影響を除けば減益の規模は50億円程度になるとしている。

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決算説明会に登壇するNTTドコモの吉澤社長

 そしてもう1つは、2016年度下期より実施している顧客還元策の影響だ。「ウルトラパック」や「子育て応援プログラム」などが2016年9月から11月頃に始まっており、2017年の第1四半期にその影響が大きく出てきていることから、減益になったと吉澤氏は話す。

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営業利益は、2016年に償却方法を変更したことによる影響を大きく受けたのに加え、顧客還元に力を入れ始めたことが減益要因へとつながった

 セグメント別の成果を見ると、通信事業は光ブロードバンドサービス「ドコモ光」が前年同期比1.9倍の384万契約に拡大し、ARPUの伸びをけん引するなど好調なことから、営業収益は298億円増の9243億円。顧客還元などの影響を受けて利益は落ちているが、引き続き拡大傾向にある。

 契約数は前年同期比5%増の7511万契約だが、MVNOや通信モジュールを含まない、純粋なドコモの契約者純増数は「横ばいくらい」(吉澤氏)とのことで、前年度と大きく変わっていないとの見解を示した。解約率が6.2%から6.7%へとやや増えているが、こちらは「2年前にタブレットの販促をしていて、2年契約の更新月を迎えたのが4、5月頃だった」(吉澤氏)ことの影響だという。

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契約数は5%増と順調に伸びているが、MVNOなどの数も含んでいる。ドコモの純増数自体は横ばい傾向とのことだ

 一方で、従来と異なる傾向を示しているのがスマートライフ領域である。コンテンツや金融、ライフデザインなどの事業を含む「スマートライフ事業」が、営業収益117億円減の1135億円、営業利益5億円減の167億円と、減収減益を記録しているのだ。

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セグメント別の業績を見ると、スマートライフ事業が減収減益になっていることが分かる

 その理由について、吉澤氏は「グループ会社のD2Cが取引形態を変更し、収益と費用を純額で形状するようになったことの影響」と答えており、その影響がなければ増収増益だったと話している。ちなみに、スマートライフ領域全体では前年同期比80億円増の369億円で、その内訳は「ケータイ補償サービス」などのあんしん系サポートが35%、「dマーケット」などのコンテンツ・コマースが25%、「dカード」などの金融・決済が20%となっている。

 中でも伸びているのは金融・決済の分野で、その取扱高は前年同期比20%増の2700億円に拡大。dカードの契約数も6月末で1800万に達し、そのうち「dカードゴールド」の契約は274万に達している。dポイントクラブの会員数も6232万、dポイントカードの登録数も1484万に拡大し、dポイントの提携先も前年同期比2.8倍の138社に拡大したとしている。

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金融・決済サービスの取扱高は20%増と順調に伸びており、dカードの契約数も拡大傾向が続くなど、スマートライフ領域のけん引役となってきている

 今回受けた減収影響は上期いっぱい続くとのことだが、下期からはコスト削減などの成果が大きく出るとのことで、今回の減益は「想定の範囲内」と吉澤氏は話す。ちなみに第1四半期のコスト効率化は120億円とのことで、通期の目標が900億円に設定されていることを考えるとやや少なめだが、こちらについても吉澤氏は「計画通りに進捗している」とした。

 さらに吉澤氏は、中期戦略の「beyond宣言」に基づいた取り組みに一層力を入れていくと説明。「docomo with」など顧客還元の強化だけでなく、パートナー企業との協業による新しいサービスを積極展開していることをアピールするとともに、新たに150億円規模の「ドコモ・イノベーションファンド2号」を設立し、ベンチャー企業の支援に引き続き当たっていくことも明らかにした。

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「beyond宣言」の一環として、新たに「ドコモ・イノベーションファンド2号」が設立されることも明らかにされた

 なお、同社は6月28日に総務省から行政指導を受けている。スマートフォン契約時の説明が不十分で、契約から8日以内であれば違約金なしで解約できる制度の運用が不十分だったためだ。この点について吉澤氏は「契約書面にサインした時点で、適切な説明をしたものと判断し、その後の契約解除に応じていなかったことは大きな反省点だ」と話し、7月から8月にかけて改善を図るとした。また「確認措置」など分かりにくい言葉や言い方を変え、ビデオなどを活用することで、スタッフや顧客にも分かりやすい形で説明できる環境を整えていく方針も示した。

 また7月10日には、KDDIがdocomo with同様、端末料金と通信料金を分離し、段階制を採用した料金プラン「auピタットプラン」の提供を発表した。これについて吉澤氏は「販売店の動向を見た中では、ドコモの顧客が動くことはあまり考えられない。いますぐ追随することは考えていない」と話す。ドコモは家族で通信容量をシェアする仕組みを採用していることから、個人で使用する通信容量を選ぶ必要がある他社のプランと比べ、ユーザーの利用実態と大きく乖離しにくいとの認識を持っていることも、その理由の1つとなっているようだ。

 またauの「三太郎の日」やソフトバンクの「SUPER! FRIDAY」など、特定の日に特定の商品がもらえるサービスに関しては、「ああいったことは考えていない」(吉澤氏)と回答。それよりも、ドコモとしてはdポイントを活用したキャンペーンで、購買行動を後押しする取り組みに力を入れていく考えを示した。

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