コマツ、NTTドコモ、SAPジャパン、オプティムの4社は7月19日、建設業務に関与するあらゆるモノをつなぐ、IoTの基盤となるプラットフォーム「LANDLOG」を提供すると発表した。4社は10月に合弁会社を設立してサービスを提供する。
同日の記者発表会で登壇したコマツ代表取締役社長 兼 CEOの大橋徹二氏は、LANDLOGの提供に至る背景を説明した。同社では2015年より、少子高齢化などによる建設現場の人材不足をICTで補うべく、建設現場に関するあらゆる情報をICTでつなぎ、安全性や生産性を高めるソリューション「スマートコンストラクション」を展開している。また、国土交通省も、建設現場へのICTの全面活用を目指す取り組み「i-Construction」を打ち出すなど、いま建設現場にICT技術を取り入れる動きが、業界全体で急加速しているという。
そうした影響もあり、スマートコンストラクションの導入実績は6月末時点で3308件に達するなど順調に拡大。建設現場におけるさまざまな要素の“見える化”が進んだという。しかし、大橋氏によると、現在の進捗は「ようやく全体の中間地点に差し掛かったところ」だという。今後はデータから得られた知見をもとに、施工現場をいかに最適化し、新しい価値を創出できるかが重要になると話す。
そこで大橋氏が打ち出したのが、プラットフォームのオープン化である。スマートコンストラクションでは従来、自社で運営するクラウドのIoTプラットフォーム「KomConnect」を基盤として用いてきたが、このプラットフォーム部分をオープンなものにし、より多くのソリューションパートナー企業が参加できるようにする。これにより、幅広い建設現場に適したアプリケーションを提供できるようにしてイノベーションを創出するほか、国内だけでなくグローバルでの展開も進めていきたいと大橋氏は話す。
その新たなプラットフォームとなるのがLANDLOGである。LANDLOGの構築にあたっては、スマートコンストラクションで建設現場の3次元測量や建設プロセスの可視化に関するノウハウを持つコマツのほか、ドコモ、SAPジャパン、オプティムの4社が初期パートナーとして参画することが明らかにされた。
ドコモはLTEやLPWAなど、IoTに関連した無線通信サービスに加え、IoTのソリューション構築やデータ収集・分析に関するノウハウを提供するという。同社代表取締役社長の吉澤和弘氏によると、ドコモとコマツは世界的に、建設機械の遠隔監視に向けた通信モジュールや回線などで協力関係にあるほか、次世代通信の「5G」に関しても、実証実験などの取り組みを進めるなど深い関係を持つことから、今回の参画に至ったとのこと。
またSAPジャパンは、SAPのIoT関連アプリケーション群「SAP Leonardo」と、クリエイティブな思考法を取り入れた「デザインシンキング」によって、LANDLOGのビジネスモデル創出や企画運営などに携わっていくという。「日本発のグローバルなプラットフォームを提供できることはエキサイティング。グローバルでの知見を投入し、プラットフォームの創出に役立てていきたい」と、同社代表取締役社長の内田士郎氏は話した。
そしてオプティムは、同社のIoT向けクラウドサービスを活用したLANDLOGの基盤構築のほか、AIを活用したエッジコンピューティングによるデータの高速処理の実現、LANDLOGを活用しやすくするためのAPIの提供、そしてLANDLOGに向けたアプリケーションの開発・提供などを担う。同社代表取締役社長の菅谷俊二氏は、「日本発のLANDLOGが世界に普及することで、デジタル化が遅れている領域で真のイノベーターとして革命をもたらすだけでなく、建設業界が合理化され人類が抱える多くの問題が解決できるのではないか」と、今回のプロジェクトに強い期待を寄せた。
LANDLOGは、10月に4社が設立予定のジョイントベンチャーが主体となって運営することから、サービス開始はジョイントベンチャーの設立後となる予定だ。コマツはLANDLOGの提供開始後、現在KomConnectの基板上で展開しているサービスを、順次LANDLOGベースのものへ移行していくとしている。
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