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アマナが教える“知っておくべき著作権”--模倣、無断流用のリスクから引用の方法まで

加納恵 (編集部)2017年08月07日 15時28分
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アマナの執行役員でアマナイメージズの取締役である佐々木孝行氏

 ひと昔前は新聞、雑誌といった紙媒体とテレビが情報の主な発信元だった。しかしインターネットの登場、さらにはSNSの普及など、メディアの多様化により、情報の発信方法は格段に増えた。同時に重要視されるのが“著作権”だ。コンテンツのデジタル化により“コピーアンドペースト”が容易にできる今こそ、身につけておきたい著作権の基礎知識について、アマナの執行役員でアマナイメージズの取締役である佐々木孝行氏が「デザイナーが知っておくべき著作権の基礎」として解説した。

 デザイナーが知っておくべき著作権の基礎は、アマナグループのアマナイメージズがデザイナー向けに実施した「新人デザイナーのためのクリエイティブ実践基礎講座」の1プログラムとして講演したもの。佐々木氏は、ストックフォトなどを扱うアマナグループが培ってきた知見から、著作権の基礎やトラブル回避の方法、特に気をつけるべき注意点などを実例を交えて紹介した。

オレンジ、緑、赤と言えばセブン-イレブン、配色に著作権があるって本当?

 著作権や商標など国全体が知的財産の保護に向けて大きく動き出している。2015年には「色だけの商標」を特許庁が認め、ついに2017年、トンボ鉛筆の消しゴムケースデザインに使われている青、白、黒や、セブン-イレブンのオレンジ、緑、赤の配色は商標登録されているとのこと。このほかにも菊正宗酒造の一升瓶を包んだ風呂敷が広がるイメージ、大正製薬のCMの掛け声「ファイトーイッパーツ」なども商標として認められている。

 佐々木氏は「デザインなどをクリエイティブする人としてこれらの動きは意識して知っておく必要がある。このほかにもコンピュータプログラムや図形など、かなりのものが著作権対象になり得る」と注意を促す。

 著作権は1970年に現行法が制定され、大きくは「著作人格権」と「著作財産権」の2つに分かれている。ビジネス上売り買いができるのは著作財産権の部分。人格権は譲渡できないため、契約上で行使しない旨の取り交わしが重要だ。著作権を侵害すると、使用差止めや損害賠償請求を受けるほか、刑事罰として、複製権侵害では10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、著作者人格権侵害は5年以下の懲役または500万円以下の罰金になるとのこと。法人の著作権侵害は3億円以下の罰金にあたる。

 では、著作権トラブルに巻き込まれないためにはどんなことに気をつければいいのだろうか。佐々木氏は、渋谷のスクランブル交差点を写した1枚の写真を掲示した。写真には、交差点を行き交う多くの人々、背景にはビルの看板、ビルボード広告などが写っている。「この写真をウェブサイトのトップページに使う場合、どれだけの権利処理をしなくてはいけないのか? 答えはゼロ。法的には、渋谷の駅前スナップのため、何の権利処理もいらないことになる。ただし、背後に写っている、企業のロゴマーク部分だけをズームしていくのはNG。どこまでズームすればNGになるのか。そこはあいまいでグレーゾーン。それが写真が持つ怖さ」と説明する。

 一部分のみをズームアップすると、使い方によっては他社のブランド力に便乗する「フリーライド」にみなされるとのこと。必要とされる経済的、時間的労力的コストを負担せずに便乗やサービスを得る行為として「不正競争防止法」に抵触する可能性があるという。

東京オリンピックのエンブレム問題、シロだったのか、クロだったのか

 佐々木氏は、2年前に起こった東京オリンピック、パラリンピックのエンブレム問題を例にあげ、模倣、無断流用のリスク、いわゆる“パクリ”についても説明した。

 エンブレム以外にも過去に裁判で争われたケースとして、構図が酷似していた「みずみずしいスイカ写真事件」を紹介。佐々木氏は「デザイン会社が手がけた仕事でも、広告代理店、スポンサーの3者は同じ責任を負う可能性がある。関連会社が起こした小さなミスでも、関わる人すべてが炎上してしまう。そのリスクを回避するためには、全員が著作権に対して高い意識を持たないといけない」と著作権知識の必要性を訴えた。

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