磁界で制御するバッテリ不要のアクチュエータ--ハーバード大が折り紙から着想

 ハーバード大学の研究チームは、磁界で動きを制御できるバッテリ不要の小型アクチュエータを開発した。折り紙に着想を得た構造と形状記憶合金を組み合わせることで、磁界の制御で折れ曲がって元に戻るデバイスを実際に製作できた。


磁界で動きを制御できるバッテリ不要アクチュエータ(出典:ハーバード大学)

 折り紙は、単純なシートに折り目を付けて複雑な構造物を作ることが可能だったり、大きな構造物を小さく畳んで収納しておけたりすることから、ロボットや人工衛星などでの応用が検討されている。しかし、可動性のある構造を実現しようとすると、バッテリのような電源やモーターなどの大きな部品を組み合わせることになり、折り紙のメリットが失われてしまう。

 これに対し、研究チームは受動素子だけで構成される電子回路と形状記憶合金を組み合わせ、小さなアクチュエータを作った。これは、3角形の薄いプラスチック板をベースとし、その板の3辺にそれぞれ3角形の板をヒンジで組み合わせた構造。ヒンジには、形状記憶合金で作られたコイルが取り付けられている。ベースの板には磁界の変化を電流に変換する回路があって、コイルに電流を通す際の発熱でヒンジが変形し、アクチュエータとして機能する。


磁界の周波数で変形するヒンジを選択(出典:ハーバード大学)

 アクチュエータに給電する仕組みは、スマートフォンのワイヤレス充電などに利用されるQiと同じく電磁誘導である。ただし、受電部分の共振周波数をヒンジごとに変えることで、各ヒンジが異なる周波数の磁界に反応するようにした。この工夫により、変形させるヒンジの選択が周波数制御で可能となり、複数のアクチュエータを組み合わせれば複雑な動きも実行できる。


開発したアクチュエータを組み合わせて作ったロボットアーム(出典:ハーバード大学)

 研究チームのデモンストレーション映像では、スポンジのかけらをつかむ小さなロボットアームの動きが見られる。

スポンジのかけらをつかむロボットアーム(出典:ハーバード大学)

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