スタートアップと投資家のファイナンス全般を一元管理できる「FUND BOARD」

 スタートアップ特化でバックオフィスを支援するKepple会計事務所は7月24日、関連会社のケップルより、スタートアップと投資家を対象としたファイナンスプラットフォーム「FUND BOARD(ファンドボード)」を公開したと発表した。ベータ版につき、スタートアップ・投資家共に無料で利用できる。


 これまで、スタートアップに関連するファイナンスについては、各株主との資料のやり取りやコミュニケーションに多くの時間を割く必要があり、資本政策もエクセル上で作成するなど効率化されていなかったという。また、投資家側も、投資先の管理業務のために膨大な工数が発生し、人員不足などを含め、管理の負担が重くなっていたという。

 FUND BOARDは、スタートアップと投資家のファイナンス面を一元管理できるプラットフォーム。スタートアップは、資本政策をオンライン上で作成可能。資本政策を作成すると、株主名簿と新株予約権(ストックオプション)原簿が自動作成される。資本政策や定例資料については、全株主にオンラインで共有できるほか、新規投資を検討している投資家に資料の閲覧権限を付与することもできる。

 投資家は、オンラインで投資先企業を一元管理でき、過去の調達額から最新情報まで把握できる。このほか、投資先とのミーティングなどでのメモ機能、投資先の資料共有、損益計算書など投資先の資料提出状況の管理・未入手資料の一覧化も可能だ。投資先に関する情報を集約できるため、投資判断など経緯をさかのぼって確認できるほか、担当者別での損益も可視化される。

 セキュリティ面では、SSLによる通信の暗号化やデータベース内部の情報の暗号化のほか、管理者以外のサーバーへのアクセス禁止に加え、サーバーへのアクセスには二段階認証を必須としている。


ダッシュボードイメージ図

 ケップル代表取締役の神先孝裕氏は、「最終的には、クロスボーダーのM&Aを増やしたい」と語る。これから日本のスタートアップが成長するためには、外貨の調達が必要となるが、海外の投資家が日本のスタートアップに興味を示しても、窓口に立つ人がいないという。FUND BOARDでは英語版の提供も予定しており、海外VCが国内スタートアップに関する情報を収集できる基盤としても提供したいという。

 2017年末には、ダッシュボード上から会社設立の登記資料、創業者間契約書、インターンとの業務契約書、投資契約書などスタートアップに必要な契約書をすべて作成できる機能を実装する。また、エンジェル税制向けの機能も実装することで、スタートアップ側でそろえる必要のあった、エンジェル税制に必要な書類作成の手間を軽減できるとしている。

 資本政策など投資に関する質の高い情報が集約されるため、「慎重に」と前置きしつつ、資金調達に関する機能を搭載する可能性もあるという。VCやエンジェル投資家、クラウドファンディング、ソーシャルレンディング、銀行などの選択肢から、そのスタートアップに最適な手法をAIがレコメンドする機能などを検討しているようだ。

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