Airbnb、民泊解禁で市場拡大に本腰--「出張」や「空き家サポート」も

藤井涼 (編集部)2017年07月24日 12時35分
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 個人宅やマンションの一室を旅行者に有料で貸し出す、いわゆる「民泊」のルールを定めた民泊新法(住宅宿泊事業法)が6月9日に成立した。部屋の貸し主(ホスト)は都道府県に届け出す必要があり、不適切な事業者には罰則が科せられるようになる。また、宿泊させることのできる日数は年間で180日が上限となった。2018年1月に施行される予定だ。

 世界最大の空き部屋シェアリングサービスである「Airbnb」の日本代表を務める田邉泰之氏は、日本におけるホームシェアリングの普及に尽力してきた人物だ。民泊新法の成立について「大変嬉しく思う」と歓迎のコメントも発表した同氏に、民泊解禁についての思いや、今後の日本における戦略を聞いた。

Airbnb
Airbnb日本代表の田邉泰之氏

「民泊」の理解が進んでいる--今後は“マス”向けにPR

――日本でのAirbnbの利用状況を教えてください。

 日本におけるAirbnbの物件数は5万2000件まで増え、過去12カ月間で500万人もの方が日本で宿泊をしました。これまで利用者は東京、大阪、京都がメインだったのですが、そのほかの地域での利用もかなり伸びてきています。やはりできるだけ多くの方が、ゴールデンルート(観光で人気のあるエリア)の外へ行けることが望ましいと思いますので、そこが徐々に進んでいることは嬉しいですね。また、インバウンドだけでなく日本人による国内旅行での利用も増えています。

 Airbnbはホスピタリティの会社ですので、ゴールは単純に宿泊を提供することではありません。宿泊先を予約するところから、実際に移動してその土地に行って、泊まって、体験をして、自宅に戻るところまですべてを、どうすればもっと楽しくできるのか、またAirbnbらしい旅にできるかがゴールです。

「Airbnb」
「Airbnb」

 ここ3〜4年、自治体や日本の企業、現地の方々とお話してしていく中で、それぞれに異なるニーズがあることが分かりました。そこをある程度テンプレート化できればということで、2017年の年初から東京大学と研究会を発足して、現在さまざまな業界から40社ほどの企業にも参画していただいています。どのような座組がいいのかをお話ししているところなので、これを2017年中に形にできればと思います。

 このほかにも、2016年10月には 岩手県釜石市と初の自治体連携をし、 旅行者を釜石市に誘致するための活動を進めています。また、5月には福岡に「ホームシェアリングラボ」を実験的に立ち上げました。取り組みの第1弾として、「比較法国際アカデミー第20回国際会議組織委員会」と覚書を締結し、各国からの参加者の宿泊を支援しました。

――日本における民泊に対する理解は進んでいると感じますか。6月からはAirbnbの初のテレビCMを放映しました。

 最近は、民泊やホームシェアリングなど、さまざまな言葉が出てきていて、徐々に世の中の理解が進んでいると感じています。我々としても新法(の施行)に向けて、正しい形で皆さまがホームシェアリングを利用できるようにパートナーの皆様と啓蒙活動をしていきたいと思っています。既存のホストやこれからホストを検討される方がルールに則って、おもてなしができるお手伝いをしたいですね。


 プロモーションについては、これまでは東京タワーに泊まれるなど、ユニークな部分を訴えるキャンペーンを展開してきましたが、そこではアーリーアダプターやイノベーター層にリーチできる媒体をメインにしてきました。今後はより多くの方に新しい体験をご理解いただきたいので、まずはテレビCMの放映を始めました。ここからさらにパートナーシップや新たな企画をアナウンスすることで、よりマスを意識したコミュニケーションをしていきたいと思っています。

 また、企業とお話しする際にも、認識がだいぶ変わってきていると感じます。大手旅行会社や、これまで「民泊はちょっと」といっていた企業などともお話できるようになりました。これは既存のものを食ってしまうのではなく、既存の市場も含めて相乗効果を生み、新たな市場を作れるというところまで理解が進んでいることの表れだと思います。

「出張プラン」を日本でも訴求

――海外では出張でもAirbnbが利用されているそうですね。

 企業向けの「Airbnb for Business」というサービスを提供しています。グループ出張や長期滞在、転勤などの際にご利用いただけるサービスで、グローバルではGoogleなどの大手企業にも使っていただいています。出張の際に、社員が別々の部屋に帰るのではなく、大きな家を借りて、引き続きそこでカジュアルな議論をする。そのような合宿の要素もありますし、宿泊費は社員のクレジットカードではなく、直接企業に請求します。また、 インターナショナルSOSという、海外出張の際に社員をサポートする団体とも連携しているので安心してご利用いただけます。

「Airbnb」
「Airbnb for Business」

 Airbnb全体に占める出張利用者の比率は10%に及びます。また、2016年は出張目的でAirbnbを利用する方が、前年と比べてグローバルで3倍に増えました。Airbnb for Businessは、これまでに世界で25万社に使われていまして、ビジネスにおいてもAirbnbのニーズがあることを実感しています。

 実は日本でもAirbnb for Businessは提供しているのですが、そこまでプッシュできていませんでした。出張では、チェックインの時間が遅くなってもいいとか、アイロンを置いておいてくれるといったことが重要になってくるのですが、日本ではホストが非常に優秀なので、すでに出張に最適な物件が数多くあります。今後は日本においてもグローバル企業による出張利用を増やしていきたいですし、国内出張でもご利用いただけるように日本企業にも勧めていきたいですね。

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