ビットコインに訪れた“成長痛”--8月1日に予期される「フォーク」とは - (page 3)

光田貴(コインチェック)2017年07月20日 13時00分

仮想通貨は成長期まっただ中。分裂は今後も起こりうる

 最後に、フォークそのものはハードフォークもソフトフォークもこれまで何度も起きており、仮想通貨にとって決して珍しいことではないことにも言及しておきたい。

 イーサリアムも2016年のハードフォークの後、改良を加えるため数回のハードフォークを実行したが、いずれも賛成者多数で新しい通貨が生まれることは無かった。「NEM」や「Monero」といった仮想通貨でもハードフォークの実施でルールに変更を加えたが、いずれも目立った混乱は起こらず、旧ルールに固執した通貨が存続するということも起こらなかった。ビットコインも過去に何度かフォークを実行しているが、いずれも古いルールの通貨が存続したり、ソフトフォークで分裂が続いたりすることはなかった。

 今回のビットコインが分裂騒動になった理由は理由はいくつか考えられる。時価総額が上がりビットコイン関連のビジネスの利害関係者が多くなっていること。開発者の層が厚くなり賛成派、反対派で独自に開発者を揃えることができている点が挙げられる。

 ビットコイン以外の仮想通貨では開発者コミュニティは仮想通貨につき一つずつであることが多く、開発コミュニティの決定事項に対して反対勢力が生まれることはまずない。また、フォークを意味のあるものにするためには、その通貨をメンテナンスしていく技術者が揃っていること、その通貨を保有する動機があることなど、さまざまな条件が揃わなくてはならない。

 今後、他の仮想通貨でもビジネスの規模が拡大し、開発者が増えれば、同じように分裂騒動が起こることは大いに考えられる。ビットコインは他の仮想通貨でも起き得る課題を先取りしているに過ぎないのだ。今回のビットコインの分裂騒動から多くを学ぶ必要があるだろう。

 管理者のいない通貨を運用するということはまだ誰も経験したことのない世界で、仮想通貨の舵取りについては誰もが手探り状態である。今回のビットコインの分裂騒動を教訓にして何を学び、どう活かしていくか、今後の仮想通貨の動向に注目したい。

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