Microsoftが、「Raspberry Pi」などの開発ボード向けに機械学習モデルを提供する「Embedded Learning Library」(ELL)をリリースした。
GitHubに公開されたELLの初期プレビュー版は、クラウドに接続しない機器に搭載される低性能のプロセッサ向けに、機械学習ソフトウェアを小型化するMicrosoftの取り組みの一環だ。
Microsoftがブログ記事で説明するように、Microsoft Researchラボのチームは現在、機械学習モデルの圧縮に取り組んでおり、パンくずほどの大きさしかないARM製プロセッサ「Cortex-M0」での稼働を実現させようとしている。
その目的は、脳インプラントなど、インターネットに接続されない機器向けに機械学習を推進することだ。Microsoftが「iPhone」向けカメラアプリ「Microsoft Pix」に導入した新しいアート機能は、端末上の人工知能(AI)を利用している。しかし、同社は脳インプラントなど、必ずしもネットワークに接続しない小型機器向け低性能プロセッサでも機械学習を利用可能にする計画だ。
圧縮の結果、機械学習モデルは現在10~100分の1に小型化されたが、Cortex-M0で利用するには1000~1万分の1まで小型化する必要がある。
しかし、現時点でELLが対応するのは、比較的高性能で大型のRaspberry Piや「Arduino」、BBCの「micro:bit」などのマイクロコントローラだ。
これらの機器用のELLは、クラウド向けに訓練され、圧縮された機械学習モデルをベースとするのに対し、Cortex-M0では、特定のシナリオ向けに調整されたトレーニングアルゴリズムに基づいて動作することになる。
研究チームがこれまでにテストした最小のデバイスは、2キロバイトのRAMを搭載したシングルボードコンピュータ「Arduino UNO」だ。
Microsoft ResearchのMachine Learning and Optimizationグループで主任研究員を務めるOfer Dekel氏は、自宅の庭に出没するリスの問題に対処するよう、コンピュータビジョンモデルを訓練した。このモデルをウェブカメラに接続した「Raspberry Pi 3」に導入すると、リスを検知してスプリンクラーを作動させるようになった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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