最初にテストしたのは、2つのモデルだ。1つは、デバイスを起動させるのに患者がボタンを押す必要があり、これによってマイクが常に音声を拾うというプライバシー問題を回避する。もう1つは、「Watson」と呼びかけると起動する。
「ボタンがあるとプライバシーは守られるが、その都度押す必要があるので、患者にとっては非常にストレスになることが分かった」(Greenstein氏)
最新のスピーカは、HARMANのアラームクロック搭載の丸形スピーカ「JBL Horizon」に組み込まれており、音声コマンドだけで動作する。同病院はこの新型スピーカ約40台をテストしているところで、並行してIBMとHARMANがスマート機能の調整を続けている。このスピーカは病院の自動設備管理システムにも接続しているため、管理者は暖房、空調、照明をオンラインで制御できる。誰にとっても便利だ。
HARMANの技術戦略担当バイスプレジデントであるKevin Hague氏は次のように述べている。「義理の父が入院していたときは、室温の調整を看護師に頼まなくてはならなかった。おかしなことに、正看護師に来てもらって、室温の調整方法をコンピュータで調べてもらう必要があった」
ジェファーソン病院では、起動キーワードとして、このまま「Watson」を使い続けるのか、「Jefferson」など他の言葉に変えるのか、記事作成時点では決まっていない。
音声アシスタントに命令して何かしてもらうなら、病室ではなく、ホテルの客室でやってもらう方がいいとも言える。
すでに試しているホテルもあり、市販のデジタル音声アシスタントでも十分に使えることが分かっているという。
例えばMarriott Internationalは、AppleのSiriとAmazonのAlexaを、ボストンのホテル「Aloft Boston Seaport」でテストしている。「iPad」とAmazon Echoが10室に設置され、ゲストは音声コマンドでテレビの操作や照明の調節ができる。ホテルでは、どのスイッチで何を操作できるのか見当もつかないことがあるので、とても便利そうだ。
「客室がパーソナルテクノロジの延長になる。遠い未来の話だとは思わない」。Marriottのグローバルブランドリーダー兼バイスプレジデントのToni Stoeckl氏はこう語った。
一方、ジェファーソン病院、HARMAN、IBMは、スマートスピーカを学習させて単純なタスク以上に機能の幅を広げる方法を模索している。この可能性は注目に値する。もしかしたら、Watsonが患者の自宅までついてきて、薬を正しく服用しているかどうか確かめる日が来るかもしれない。あるいは、回復を早めるために散歩を勧めたり、簡単に薬局を変更したり次の診察を予約したりしてくれるかもしれない。
今のところ、スマートスピーカに規制当局の承認は必要ないが、診断に関する情報を提供したり、医薬品について説明したりするようになると、それも変わる可能性がある。
ジェファーソン病院が最終的にどんな形でスマートスピーカを使うことになるかは分からないが、1つ確かなことがある。入院するのは大変だということだ。病室でちょっとしたことを操作できるようになれば、その大変さが少しは軽くなるかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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