JリーグとNTTドコモは6月30日、トップパートナー契約を締結したことを発表。またJリーグは、NTTグループともオフィシャルテクノロジーパートナー契約を締結することを同時に発表した。
今回のパートナー契約により、ドコモはJリーグの9社目のトップパートナーになる。NTTグループはすでに、2016年7月よりJリーグ、そしてスポーツ動画配信サービスを提供するDAZNと、スタジアムなどのICT化を進める「スマートスタジアム事業」で協業を進めている。今回新たなパートナー契約を結ぶことで、ARやVRなどの最新技術を活用したエンタテインメント体験の充実を図り、新たなファン層の開拓や地域活性化に貢献するとしている。
同日に実施された共同会見において、公益社団法人日本プロサッカーリーグのチェアマンである村井満氏は、このパートナーシップによって2つの期待を述べた。1つはJリーグの理念でもある地域貢献だ。
JリーグはJ1、J2、J3合わせて38都道府県・54チームが存在するが、チームのホームタウンがある地域のドコモショップが「DAZN for docomo」を積極的にアピールし、加入者の拡大に大きく貢献しているとのこと。そうしたことから今回のパートナーシップでは、全国2400店舗のドコモショップを展開するドコモと連携しての地域活性化に、強い期待を示しているという。
そしてもう1つは、NTTグループの技術を用いてJリーグのICT化を推し進めることだ。スマートスタジアム構想に関してはすでに、ドコモらがスポンサーを務めている大宮アルディージャのホームスタジアム「NACK5スタジアム大宮」で高密度のWi-Fi環境を整備するなどの取り組みを実施。これをユースケースとして「ユアテックスタジアム仙台」「県立カシマサッカースタジアム」など、他のJ1チームのスマートスタジアム化を進めており、すべてのJ1チームのホームスタジアムをICT化したいとしている。
そしてもう1つ、村井氏が期待しているのが、Jリーグのデジタルプラットフォームの共通化である。現在、Jリーグでは各チームのウェブサイトなどを共通のプラットフォームで管理できる統合型プラットフォームの構築を進めているが、こちらも今回のパートナー契約でNTTグループとの関係を強化し、そのノウハウを生かして整備を進めたいと、村井氏は話す。
一方、NTTドコモの代表取締役社長である吉澤和弘氏は、これまでDAZN for docomoの販売によるJリーグの視聴機会の提供や、NACK5スタジアム大宮で「dポイント」や電子マネーの「iD」が使える、キャッシュレス決済できる仕組みを整え、スタジアムのICT化に貢献するなど、Jリーグを盛り上げるための取り組みを積極的に実施してきたと話す。
その上で吉澤氏は、ドコモが4月末より掲げている中期戦略2020「beyond宣言」で、パートナーとの協創による地域の活性化や地域創生を、今後力を入れるべき分野の1つとして挙げている。そうしたことから「Jリーグ百年構想」で地域に根差した活動に力を入れるJリーグと連携し、最新の技術やドコモショップなど、ドコモのアセットを活用することで地域に貢献できる取り組みをしていきたいと話した。
また吉澤氏によると、今回のパートナー契約によって、Jリーグの試合チケットのオンライン販売時に「dケータイ払い」で決済できるよう準備が進められているとのこと。さらに将来的には、「ARやVR、次世代通信などを活用してスタジアムに新しいエンタテインメント体験ができる環境を提供することも考えていきたい」と意欲を見せた。
しかしながら、今回のパートナー契約は2017年7月から2019年12月までとなっており、ドコモが2020年の展開を予定している次世代通信の「5G」の活用は、契約時期的に含まれないことになる。この点について吉澤氏は、「契約期間を2019年12月までにこだわっている訳ではない。長ければ長いほどいい」と話し、今後契約を伸ばす可能性もあると答えた。
あくまで現時点で2020年以降の契約に関して決まったことはないとのことだが、吉澤氏はスポーツ全般に関して「2020年以降、ライブ感が求められるスポーツは、5Gで非常に意味を持ち、多くの人に見てもらえるものになっていくのではないか」と話しており、5Gにおける重要なコンテンツの1つになるとの認識を示した。
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