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ドコモ、横浜市でIoTを活用した「未来の家プロジェクト」始動

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 横浜市とNTTドコモ、そしてスマートフォンアプリなどを手がけるand factoryは6月22日、人工知能(AI)やIoTを活用して、居住者の生活を可視化し、快適な室内環境作りを検討する「未来の家プロジェクト」を開始すると発表した。

未来の家プロジェクト
「未来の家プロジェクト」に参画する横浜市の林氏、NTTドコモの大野氏、and factoryの小原氏。後ろにあるのが実証実験用に設けられたトレーラーハウス

 同日の記者説明会では、横浜市の経済局長である林琢己氏が登壇し、プロジェクトを実施するに至った経緯を説明した。横浜市では現在、産学官が連携・交流することで新たなビジネスを創出する2つのオープンイノベーション推進システムを設けている。1つはライフサイエンスや医療分野に関する「LIP.横浜」、そしてもう1つがIoT分野で新ビジネス創出を進める「I・TOP横浜」だ。

 I・TOP横浜のポイントは、IoTの展開に必要となる6000社の製造業と、3000ものIT関連企業の事業所が存在すること、そして技術の標準化などをする上で重要になる、欧州などの認証機関などが多く揃っている、横浜市のポテンシャルを生かせることだと林氏は話す。そうした基盤を活用し、IoTによる社会課題の解決や、新たなビジネスの創出、そして市内の99%の企業が占めるという、中小企業の人材育成などにつなげる狙いがあるそうだ。

未来の家プロジェクト
I・TOP横浜の概要。多くの製造業やIT関連企業などが揃う横浜市のポテンシャルを生かし、地域課題に向けた新ビジネス創出や中小企業の人材育成などを進める取り組みとなる

 実際、I・TOP横浜にはドコモなどの大手企業のほか、多くの中小企業も参画しているとのことで、それら企業が自動運転やドローンなど、いくつかのプロジェクトに分かれて取り組みを進めているという。未来の家プロジェクトは、その中の1つであるスマートホームに向けた取り組みの一環となるようだ。

 このプロジェクトを展開するにあたり、横浜市として解決が必要な社会課題として林氏が挙げているのが、少子高齢化による高齢の単身世帯の増加だ。337万の人口を抱える横浜市だが、その人口も2019年にはピークを迎え、2025年には65歳以上の人口がおよそ100万人に達すると推測されている。

 さらに75歳以上の人口は現在の1.5倍、85歳以上の人口も倍に増えると予測されることから、今後増えるであろう1人暮らしの高齢者がいかに健康で豊かな生活を送ることができるかは「持続可能な社会を作る上で避けられない問題だ」と林氏は話す。そこで未来の家プロジェクトでは、さまざまなIoT機器を活用しセンサを用いることで、快適で健康な暮らしをサポートする環境を作り上げる取り組みを進めていくとのこと。今後2年にわたって実証実験を進めることで、データや知見を得るだけでなく、市内の企業同士の交流にも役立てたいと林氏は話す。

未来の家プロジェクト
横浜市でも今後少子高齢化が進み、高齢者の単身世帯が増えていくことが予想されている。未来の家プロジェクトは、そうした社会課題解決に向けた取り組みの1つとなる

 NTTドコモの執行役員R&D戦略部長 兼 イノベーション統括部長の大野友義氏は、未来の家プロジェクトのより具体的な仕組みについて説明した。ドコモはこのプロジェクトにおいて、IoTのセンサや機器を制御するゲートウェイを備えたトレーラーハウスを用意。中小企業が持つIoTのプロダクトをこのトレーラーハウス内に取り入れ、それらをスマートフォンのアプリで一元的に操作できる実証実験環境を用意しているとのことだ。

未来の家プロジェクト
実証実験用のトレーラーハウス内の様子。スマートフォンアプリで操作することにより、照明やテレビ、カーテンなどさまざまな機器を制御できる
未来の家プロジェクト
睡眠計や体組成計で測定した情報が鏡に表示され、すぐ確認できる仕組みなども用意されている
未来の家プロジェクト
現在はIoTのゲートウェイとしてスマートフォンを活用しているとのこと。ここからWi-FiやBluetoothなどを用いてIoT機器を制御しているという

 そしてもう1つは、IoTデバイスを制御するためのインターフェースを提供することだという。大野氏によると、IoT機器には非常に多様な機器が存在しているために、機器とサービスをつなぐためのインターフェースが異なり、ウェブサービスやスマートフォンアプリなどから一括制御するためのアプリ開発が煩雑になってしまうという、大きな課題を抱えているという。

 そこで、ドコモでは今回の実証実験において、インターフェースの問題を解決するべく、多様なデバイスをクラウド経由でスマートフォンに接続するデバイスWebAPI「GotAPI」の活用を推し進めているとのこと。このAPIは、携帯電話のサービスやハードなどの仕様に関する標準化団体「Open Mobile Alliance」で標準化がなされており、ドコモもDevice WebAPI Consortiumで普及促進を進めているものだ。

未来の家プロジェクト
機器ごとにまちまちとなるIoTのインターフェースの問題を解消するべく、今回のプロジェクトでは標準化されているWebAPI「GotAPI」の利用を推し進めているとのこと

 ドコモでは、GotAPIを活用したIoT機器を開発するためのセミナーの開催も予定しているとのこと。大野氏は一連の取り組みによって「参加企業と我々の技術を掛け算しながら、便利に生活できるスマートホームを推進していきたい」と、プロジェクトに期待を寄せた。

 もう1つの参画企業であるand factoryは横浜市にあるベンチャー企業で、スマートフォンアプリの提供に加え、部屋中のIoT機器をスマートフォンで操作できる宿泊施設「&AND HOSTER」を展開するなど、IoT事業にも力を入れている。そこで同社は今回のプロジェクトにおいて、これまでのIoT事業で得た知見を生かし、IoT機器を操作するためのスマートフォンアプリのインターフェース設計を担当するほか、IoTの事業化ノウハウの提供なども進めていくという。

 and factory代表取締役CEOである小原崇幹氏によると、今回用意するアプリでは、1つのスマートフォンで健康状態の管理と、室内の機器制御を同時に実現できる仕組みにしているとのこと。見やすさや操作性を重視することで、居住者がより利用しやすいインターフェースを実現しているそうだ。

未来の家プロジェクト
and factoryが手がけたスマートフォンアプリのインターフェース。機器の操作はシンプルにできるように仕上げられている
未来の家プロジェクト
ヘルスケア情報だけでなく、部屋の温度や湿度などもスマートフォン上から確認しやすくなっている

 小原氏は「モノとモノをつなげることには可能性がある」と話し、デバイス間の連携がIoTの大きな鍵になると捉えていると、IoTの将来に期待を示す。さらに今後に関しては、今回のプロジェクトで得られた知見を活用してIoTのサービスパッケージを作り上げ、それを住宅やオフィス、介護施設などへ展開したいと話した。

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