上空を360度高速スキャン--ウェザーニューズ、気象観測用「EAGLEレーダー」量産へ

 ウェザーニューズは6月22日、Nanowave Technologiesと気象観測用の新型マルチビームレーダー「EAGLEレーダー」の量産に関する覚書を締結したと発表した。


 Nanowaveは、カナダ・トロントを拠点として、航空宇宙向けの電子機器やシステムを設計・製造している企業。

 同社は、2014年よりオクラホマ大学と共同で新型マルチビームレーダーを開発。同レーダーは、周囲360度を高速スキャンし雨雲の3次元分布を観測でき、半径50km以内の積乱雲の発達状況をほぼリアルタイムで捉えられるため、突発的かつ局地的に発生するゲリラ雷雨や突風の予測に有効だという。また、ウェザーニューズの予報センターは、ゲリラ雷雨や突風のほか、ひょうやあられの観測にEAGLEレーダーを活用し、予測精度の向上に努めるとしている。

 まずは量産化のための技術開発を経て、2018年春より、Nanowaveのオクラホマ工場で200台を生産する計画だという。レーダーは自社の観測インフラとして展開する予定であり、日本やアジアを中心に順次設置していく。特に首都圏については、2020年を見据えて重点的に気象現象の監視体制を強化するという。


 同社は、2009年に小型気象レーダー「WITHレーダー」を開発。全国80カ所に設置し、ゲリラ雷雨や突風の観測に活用してきた。WITHレーダーは、6秒間隔で雲の断面を鉛直方向にスキャンできる点で優れており、雨雲の発達度をほぼリアルタイムに観測可能。

 ただし、観測範囲が120度に限られており、雨雲を発生初期から捉えるには満足できない部分もあったことから、2020年に向けて万全な観測システムを構築するべく、WITHレーダーの後継機となる「EAGLEレーダー」の開発に着手していた。

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