--石井酒造とのコラボレーションもシャープとしては珍しい形ですね。
西橋氏:最初に蓄冷材をお持ちしたときは、適温を保てるためワイン用のクーラーバッグ的な使い方はどうだろうと思っていたのですが、今は日本酒ブームが来ていて、クラウドファンディングの日本酒プロジェクトでも成功事例が出てきていると北原さんからお話しをお聞きしました。そうした最先端の感覚をアドバイスいただけたのは貴重でした。
北原氏:Makuakeではすでに約50件にのぼる日本酒のクラウドファンディングを実施していますが、その中でも石井酒造は、国内で初めてクラウドファンディングにチャレンジした酒造でした。社長の石井誠さん自身も国内一若い蔵主で、新しい試みにも積極的で、今回のお話しも二つ返事でOKをいただけました。
蓄冷材のお話しを最初にいただいたのは2016年の8月で、その時は「適温を保てる」という“機能特性”だったんですね。これを適温体験を届ける蓄冷材料という“体験価値”に変換するためのアイデアが日本酒とのコラボレーションだったんです。
マイナスに冷やすことは味わいがわからなくなってしまうので、本来日本酒のタブーなのですが、挑戦してみたら石井さんも納得していただけるおいしさが再現できました。マイナス2度を実現することで、夏の定番としての企画性もできました。
--商品名やこのデザインはどういう風に作り上げていったのですか。
北原氏:忘れもしませんが、2月13日に商品名を考えるための会議を私と石井さんで一緒に行いました。なかなかいいアイデアが出てこなかったのですが、明けて14日の早朝4時半ころに「雪どけ酒 冬単衣」の名前が生まれました。
味わいの変化は「雪がとけるような味」と例えるとわかりやすいですし、シズル感がある。そこからさらに「雪どけの味わいを仲間と共有したい、周りの人に自慢したい」という、その先のストーリーが見えてきました。
木内氏:保冷バッグのセットだとしても720mlの日本酒が6600円(限定1300セット)は高いですよね。私たちは簡単にはモノが売れないことを日々痛感していますから、そこをどう購入まで導くかというと価値に転換することが必要です。この転換作業を担うのはネーミング、ページづくり、動画だったりするわけです。
こだわっているのは何にお金を払うかの定義で、ユーザーの方は日本酒を買いに来ているわけではなくて、日本酒を買った先にあるシーンを買ってくれていると思うんです。そういうアトラクションを提供できることが必要なんですね。
西橋氏:蓄冷材は楽しいアトラクションだと提案いただけたときはうれしかったですね。シャープ自体もたくさんのモノづくりをしてきていますが、そういう発想はなかなか出てこない。今回のクラウドファンディングを通じて目から鱗がたくさん落ちました。
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