テレビメーカーは何年にもわたり、画質向上に注力する一方で、音質については無視するか、低下させることさえあった。だがメーカー各社は今や、言わば音声のHD体験に相当するものを生み出そうとしている。
一方で、サウンドシステムの向上に伴い、消費者はスピーカを利用する際に音楽や映画を聴く以上のことを期待するようになった。スピーカに話しかけて、「Amazon Alexa」や「Google Home」にちょっと手助けしてもらいたいと思っているのだ。モノのインターネット(IoT)やウェアラブルの世界が成長するにつれて、リアルタイム翻訳などの機能を持つ、より洗練されたリスニングデバイスに対する消費者の需要も高まっている。
Qualcomm Technologies Internationalはこのようなトレンドを、中国で現地時間6月15日に発表した一連の新たな音声技術で追いかけようとしている。同社の新製品には、ヘッドホンやスピーカに使用する次世代のアンプ用チップセットや、新たな音声用システムオンチップ(SoC)プラットフォームなどがある。加えて、Qualcommはマルチルーム技術を備えたスマートオーディオプラットフォームを発表した。このプラットフォームは、メーカー各社がスマートスピーカの開発を加速させる助けになるだろう。
Qualcommが発表した「CSRA68100」は、高性能のシングルチップで構成されるフラッシュプログラミング可能なBluetoothオーディオ用プラットフォーム。高価格帯のワイヤレススピーカおよびヘッドホン向けだ。CSRA68100は、現行モデルの4倍のデジタル信号処理能力を実現するほか、32ビットの開発者専用アプリケーションプロセッサを搭載する。Qualcommで音声および音楽担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるAnthony Murray氏は、これによりメーカー各社は「ユースケースがないためにこれまでは必要とされなかった消費者体験をもたらす」ことができるはずだと述べた。たとえば、多機能スピーカで音声認識が可能になる。
CSRA68100がハイエンドデバイス向けである一方、フラッシュプログラミングが可能なオーディオSoCプラットフォームとなる新しい「QCC3XXX」ファミリは、Bluetoothヘッドセットおよびスピーカ向けに、さまざまな競争力のある価格に設定されている。Qualcommはまた、USB-C接続のオーディオデバイスをターゲットとしたシングルチップUSBオーディオSoCプラットフォームも発表している。
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