何者かが、Linuxを対象とする単純なトロイの木馬を開発した。その目的は、「Raspberry Pi」搭載デバイスの限られた能力を利用して、暗号通貨をマイニング(採掘)することだ。
Raspberry Piユーザーは、先ごろリリースされた「Raspbian」のアップデートをデバイスに適用することを検討する必要があるかもしれない。特に、外部からのSSH接続を許可するよう設定している場合は速やかにアップデートした方がいいだろう。
ロシアのセキュリティ企業Doctor Webによると、「Linux.MulDrop.14」というマルウェアはRaspberry Piデバイスだけを狙い、その処理能力を利用して暗号通貨をマイニングするという。
Doctor WebがこのRaspberry Piを狙ったマイニングマルウェアを発見したのは、同社のハニーポット(おとり)用Linuxマシンが感染したためだ。同マルウェアは、単純なbashスクリプトを利用して、外部からのSSH接続を許可するよう設定されたRaspberry Piデバイスへの接続を試みる。狙うのは、デフォルトのログイン名「pi」とパスワード「raspberry」が使われているRaspberry Piボードだ。
マルウェアはその後、「pi」ユーザーのパスワードを別の文字列に変更する。
次に、インターネットスキャンツール「ZMap」とユーティリティツール「sshpass」をインストールして、22番ポートが開いているネットワーク上の他のデバイスを探して感染する。
しばらくアップデートしていない旧バージョンのRaspberry Piデバイスは、このマルウェアに対してさらに脆弱かもしれない。Raspberry Pi財団は米TechRepublicの取材に対し、2016年終盤にリリースした「Raspbian」向けアップデートではSSHをデフォルトで無効にしているほか、デフォルトのパスワードを変更するようユーザーに強く求めていると述べた。
ただし、Raspberry Pi財団は、まだアップデートされていないRaspberry Piボードが数百万基にのぼる可能性があるとして、注意を呼びかけている。公式のThe MagPi Magazineによると、過去5年間に約1250万基のRaspberry Piが販売された。
なお、このマルウェアはBitcoinのマイニングはしないとみられる。Bitcoinの「採掘難易度」が高いため、Raspberry Piデバイスはもちろん、PCの巨大なネットワークを使ってマイニングしても、採算が合わないと考えられるためだ。
ただし、より低い演算能力でマイニングできる暗号通貨は他に多数ある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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