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AbemaTVアニメチャンネル担当者に聞く“1年間で得た実感と高い人気の理由” - (page 2)

佐藤和也 (編集部)2017年06月08日 17時01分
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一緒にコメントをしながらアニメを見る体験の付加価値を訴求

--無料で視聴できることをうたっていますが、本開局時点から好きな時にタイムシフト視聴ができる有料サービスも盛り込んでいました。ただ、あまりそこをうたっていなかったように思います。

椛嶋氏:たしかにあまり目立たせてはいませんでした。アニメに限らずですが、AbemaTVはリアルタイムで放送している番組を見てもらうことを重要視しています。すでに無料、あるいは定額制でアニメを見る習慣みたいなものがついていますから、タイムシフト視聴を声高くうたってもアニメファンの方には響かないだろうと思っていたので。今はネットにおける独占配信作品もありますから、そこをウリにしてアプローチできると思いますが、スタンスとしては、いかにリアルタイムで視聴してもらうかを考えています。

水谷氏:有料でいつでも好きなタイミングでアニメを見たいという方と、無料でみんなと一緒にリアルタイムでアニメを見たいという方は、同じように見えて少し違うものがあると考えていました。今はみんなで集まってコメントをしながらアニメを見るという、体験の付加価値があると思ってますし、そこにうまく訴求できるラインアップを用意できたのが、AbemaTVでアニメがたくさん見られる状況につながったのかなと考えています。

--AbemaTVでよく視聴される作品の傾向はありますか。

椛嶋氏:AbemaTVだからという観点でいくと、思ったほど特筆するものはないです。編成に関しては、周年を迎えるタイミングや、次回作が発表されたタイミングなどファンの熱量が高まっているタイミングは意識しています。ただ「ソードアート・オンライン」のように、何度編成しても見られる作品もあります。また、ネットでは深夜アニメ系の作品が見られると思われがちですが、ファミリー向けの作品もランキングで上位にきたり、特に「クレヨンしんちゃん」の映画が高い視聴数を出したこともあります。

水谷氏:私も、AbemaTVならでは視聴傾向というものはないととらえています。コメントは、深夜や早朝でも他のチャンネルより多く付くといったところはありますが、そのぐらいでしょうか。時間帯にも大きな特徴があるわけではなく、生活時間帯に準拠している感じです。逆に客層を限定していないのがAbemaTVの強さでもあり、アニメも全般的に見ていただいているからこそ、視聴数の多さや視聴時間の長さにつながっていると思います。

--編成する作品のラインアップについて、基準となるものはありますか。

椛嶋氏:一概には言えないところがあります。作品としての定量的な評価ももちろん考えますが、そのタイミングでみなさんが見たいと思えるかどうかはすごく大事にしています。

水谷氏:過去の作品についてはタイミングを重視しています。また新作アニメチャンネルを担当していますが、こちらはネットとの放送連動している作品については、できるだけ数を用意する方針です。

--本開局から3カ月後の7月から新作TVアニメチャンネルを追加しましたが、当初から予定していましたか。

水谷氏:新作の見逃し配信となるチャンネルは当初から計画していました。本開局と同時ではなかったのは、その時点ですでに第1話を放送している作品が多く、第2話以降の途中から放送しはじめることに疑問があったことと、4チャンネル分のラインアップをそろえることで当時はいっぱいいっぱいだったことの2つが理由です。なので、タイミングを見て7月から新設するという形になりました。

椛嶋氏:当時は4チャンネル分を、私と水谷がメインで交渉と編成を行って、あとはアシスタントが数名という体制だったのです。なので、なんとか本開局に間に合ったといえる状態でした。今は人員も増えて体制も強化しています。

--この1年でアニメチャンネルでの変化を感じるところはありますか。

  • 2017年4月の人気番組ランキングより。「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語」が1位に

椛嶋氏:いろいろと変わったと思いますが、振り返って一番大きかったのは、2016年10月からのテレビアニメ「ドリフターズ」をネットで独占かつ、地上波放送と同時配信したことでしょうか。AbemaTVとしてみても初めてコンテンツを独占配信するという試みでした。ほかにも同じタイミングで特別番組(特番)を制作して、新作の最新話を盛り上げるといった取り組みも始めました。

 こうしたことから、コンテンツホルダーも「AbemaTVは新しい取り組みをしている」と思っていただけるようになって、風向きも変わりました。コラボのお話をいただいたり、取り組みの幅も広がりました。さらにそこから「傷物語」や「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語」の初配信に繋がっていきました。いい流れを作れたのではないかと思いますし、大きな変化だったと振り返って思います。

 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語は、初放送時の視聴数が115万までいきました。100万を超える作品や一挙放送自体はこれまでもありましたが、約2時間弱という時間で考えると快挙といっていいぐらいです。アニプレックスさんからスマホゲーム「マギアレコード 魔法少女まどか マギカ外伝」の配信を控えていることもあり、一緒に盛り上げることができたらと、さまざまな施策をしていきました。

--特番を制作、放送することについても計画はしていましたか。

椛嶋氏:最初から具体的な計画があったというわけではありませんでしたが、キャストの方々が出演し、作品についてトークをする番組を、アニメファンの方も見たいだろうと思っていましたので、いずれやりたいと考えていました。やはり最新話や振り返り一挙放送の前に特番を設けると、その流れから見ていただける動機づくりにもなります。

水谷氏:テレビとの同時配信の作品であっても、オリジナル番組を制作することによってAbemaTVならではの価値を提供できますし、コンテンツホルダーとしても番組を盛り上げていく流れができますので、そこは大きいと思います。

AbemaTVを支える存在、アニメ業界が盛り上がることを目指して

--一挙放送も人気があります。

椛嶋氏:今だと金曜日から日曜日にかけては、連日一挙放送を組んでいる状態ですね。やはりランキングの上位にいきます。

水谷氏:やはりお祭り感が出せるものなので、特に人気はあります。

--2016年のクリスマスには「Xmas恋愛アニメ一挙放送特集」と題して「とらドラ!」、「WHITE ALBUM」、「School Days」を放送しましたが、選んだ作品にも注目が集まって話題になりました。

水谷氏:かなり話題になりました。School Daysにおいては、結構前(2007年にテレビ放送)の作品でネット配信も行われていますが、コメント数は一挙放送における当時の最高記録を更新しました。AbemaTVとしては初めての配信で、もともと盛り上がる作品という認識はありましたけど、ここまでとは思ってなかったです。

--編成に対して苦労するところはありますか。

水谷氏:生活時間帯が千差万別ですので、どんな時間帯でも「見られない」という意見は出てきます。そのなかでのベストを考えるのは苦慮しますし、その上で24時間をきちっと埋めていくのは、パズルを組み合わせるようなものですね。

椛嶋氏:アニメは特に放送枠が細かくて多いので、24時間分を全て埋める作業をしていると、本当にテレビ局の方々はすごいと尊敬します。あと企画に力を入れれば入れるほど、ユーザーも見てくださるということは実感していますので、なおのこと編成のひとつひとつに魂を込めるのはパワーが必要だと感じています。

--アニメチャンネルを担当していて良かったと思えることはありますか。

椛嶋氏:さまざまな年代の作品を扱っていることもあり、それこそ日本の歴史に残るような作品や、それに携わる方と一緒に仕事ができるのはうれしいです。作り手の方が見えるような取り組みを宣伝担当チームを巻き込みつつ行ったり、AmebaTVでしかできない特番や独占配信ができること自体がやりがいですし、それが伝わってAbemaTVのアニメチャンネルに来てくださる方がいるという実感が得られます。

水谷氏:最初はよくわからない存在という認識のされ方からスタートしたと思ってますので、見てくださる方の評判もそうですし、コンテンツホルダーの方々から取り組みに対する提案をいただけるようになり、その上でいい結果をお返しすることができるようになったことがうれしいです。

 特に「ユーリ!!! on ICE」は地上波での最速放送が深夜遅めの時間で、AbemaTVが翌日からの配信だったのですが、夜9時台という浅い時間からでも視聴できる環境を提供できたことによって、より作品を広げていけたという権利者側からのご意見も頂いています。そういう声があると、作品に貢献できていると実感できます。

--弊誌の藤田氏に対するインタビューのなかで、全体に対するアニメの比率が3割程度に落ち着いているという話があったのですが、それについてはいかがでしょうか。

椛嶋氏:まず全体的な比率において、初期の頃から少なくなっているのは事実なのですが、視聴者数や視聴時間ともにずっと増え続けています。月によって全体での比率は変動しますが4月は4割を超えていました。

水谷氏:初期のころは6割を超えている日もありましたし、あと季節要因といいますか、年末年始やゴールデンウィークのような大型連休となると、いまだに比率としてはかなり高くなります。僕らとしてはアニメを見てくださる方を増やしていくことが大事で、その実数自体は順調に伸びてます。全体の比率としてアニメが落ち着いてきたのは他のチャンネルがそれ以上に伸びているからであって、AbemaTV全体が成長していることの裏返しと認識しています。

椛嶋氏:生放送番組における視聴の割合が特に増えてます。やはりオリジナル番組に力を入れて生放送が盛り上がるというのは、サービス全体としていい流れができますし、オリジナル番組をきっかけにアニメを見てくださる方も増えていくものと考えています。逆に、アニメをきっかけとして他チャンネルの魅力に気付いた方もいらっしゃると思うので、そこはポジティブにとらえています。

--今後の展望などはありますか。

椛嶋氏:現在、サイバーエージェントグループでアニメファンドを組成する準備を進めています。ここではアニメIPに出資を行い、アニメ制作やその作品のゲーム化、AbemaTVでの先行配信などを行うことを目的としたものです。今後、サイバーエージェントグループとしてもアニメ領域の事業拡大を目指していきます。

 個人的な思いとしては、アニメチャンネルは常にAbemaTVを支える存在でありたいと思っています。アニメというとコアなファンをイメージしがちですが、より一般の方々に広まる可能性を秘めていると運営していて感じています。そしてもっとアニメ業界が盛り上がる仕組みを整えて、ファンの方はもとより、コンテンツホルダーや制作の方々と一緒になって盛り上げていきたいと思います。

水谷氏:本当にやりたいことはいっぱいあります。ファンの方が見たいタイミングで作品を用意していくことは大事ですし、その上で今は特番をスポット的に展開していますので、スペシャルチャンネルでやっているようなレギュラー番組を、アニメチャンネルでも展開するなど、作品の配信プラスアルファの価値も提供していきたいです。

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