気軽に購入できる家庭用3Dプリンタの選択肢は増えたが、安価なモデルの成形可能サイズは小さい。そのため、大きな物を作るには、複数の小さな部品に分けて成形してから組み合わせる必要がある。この方法だと、手間や時間がかかるうえ、部品同士をきちんと接合するには成形サイズの微妙な調整が欠かせず、一筋縄ではいかない。
そこで今回は、スペック上は無限に長い物を成形できる「BLACKBELT 3D Printer」を紹介しよう。現在クラウドファンディングサービス「Kickstarter」で支援募集中。
BLACKBELTは、ABSやPLAといった樹脂を熱で溶かして層状に重ねて成形する、熱溶解積層法(FDMもしくはFFF)タイプの3Dプリンタ。原理は普及している3Dプリンタと同じだが、成形する台がベルトコンベヤーである点が独創的。成形サイズは、高さ340mm、横340mmという一般的な上限があるのに対し、成形時にベルトを動かすことで長さ方向の制限をなくしてしまった。
ベルトはカーボンファイバ製で、成形物と溶着せず、耐久性に優れているという。しかも、硬性が高く、熱で変形しにくいため、精度の高い成形を可能にしているそうだ。
さらにBLACKBELTは、成形時の樹脂層を水平方向でなく、斜めに傾けて重ねていく点もユニークだ。この成形プロセスにより、一部がベルトに接地しない形状の成形が容易になる。通常の3Dプリンタだと支持部材を使う必要のある場合でも、BLACKBELTならそのまま作れてしまう。
なお、ベルトコンベヤーを採用したことで、BLACKBELTは量産も実行しやすくなった。作った物を移動させて箱などに落とすようにすれば、無人で多数の成形物を自動的に作れる。
Kickstarterでの支援受付期間は日本時間7月1日まで。記事執筆時点(日本時間6月7日12時)でキャンペーン期間は24日残っているが、すでに目標金額5万ユーロを大幅に上回る約8万1000ユーロの資金を集めている。
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