マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究グループは、ビルのような建物を直接3Dプリンタで“印刷”可能なことを示すため、実際に建造物を“出力”できる巨大な3Dプリンタ「Digital Construction Platform(DCP)」を試作した。この技術が実用化されれば、ビル建築に必要な期間が短縮され、コストが削減され、柔軟性も高まるという。
DCPで作成可能なものは、建物を構成する壁などの基本的な構造。移動可能な本体にクレーン車のような長いロボットアームが取り付けてあり、その先端に設けられた小さいロボットアームがノズルからコンクリートや断熱材などを出して、建物の壁を下から形成していく。原理的には、一般的に使われる熱溶解積層法(FDMもしくはFFF)3Dプリンタと同じ仕組みだ。
研究グループが作った概念実証システムは、直径が50フィート(約15m)、高さが12フィート(約3.7m)あるドーム状の建造物を、14時間かからずに作れたという。壁は、ノズルから出したコンクリートを、同じくノズルから出したポリウレタンフォームが挟む構造。
バケットで砂などをボディ内にすくい入れ、内部でコンクリートを作りながら出力する機構も取り付けられる。太陽電池パネルで得た電力で動かせば、災害の被災地などで避難施設の建築に使う、といった応用が可能だ。
さらに、人間が作業するには過酷な南極、月、火星といった環境で、建物を自動的に作るロボットとしても使えるとしている。
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