アンドリュー・クレイマーという人物をご存じだろうか。「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」や「スター・トレック イントゥ・ダークネス」にVFXアーティストとして参加した敏腕クリエーターでありつつ、アドビのデジタル合成・モーショングラフィックス制作ソフト「After Effects CC」向けのプラグインや、映像素材集の企画・開発などを手がける「Video Copilot」の創設者でもある。
Video Copilotは、After Effects内で3Dを扱える「Element 3D」などの高品質かつ低価格なプラグインのほかに、After Effectsを使ったビジュアルエフェクトのチュートリアルを無償で公開している。シネマレベルの映像の作り方を分かりやすく見られるため、世界中のクリエーターから支持されている。
日本でも映像クリエーターからの人気は高く、動画向けプラグインなどの販売を手がけるフラッシュバックジャパンが、2016年11月に「VIDEO COPILOT LIVE! 2016」を開催。六本木の「EX THEATER」には、800人の映像クリエーターが集結し、クレイマー氏の講演に耳を傾けた。
今回、NAB Show 2017の開催にあわせ、Video Copilotを提供した背景やSNSなどによる動画の一般化、これから映像を始める初心者へのアドバイスなどクレイマー氏に聞いた。
――まず、Video Copilotとクレイマー氏ご自身について教えてください。
Video Copilotは、After Effectsのチュートリアルツールのほか、Element 3Dなどのツールを提供しており、デジタルアーティストがより早くて本格的なワークフローを展開できるよう支援しています。Element 3Dは、素晴らしいタイトルであったり3DアニメーションをAfter Effectsの中で制作でき、高度かつ速いレンダリングツールを使いたい場合、Element 3Dを使えば、ハイクオリティな映像を短時間に作成できるのです。
私はもともとデジタルアーティストであり、スター・トレックやスター・ウォーズにも携わりました。デジタルアーティストとしてやってみたいことがあり、「こういうプラグインがあったらいいな」という思いで開発しております。アーティストとしてより良いものを出し、そして、私以外のアーティストをデザイン面で助けられたらと考えています。
Element 3Dは、スター・トレック イントゥ・ダークネスではタイトルに、スター・ウォーズ/フォースの覚醒ではホログラムの作成に使っています。ホログラムは、古いVHSのようなアナログ的な映像が望ましいのですが、こうした映像を制作する時にElement 3Dを使えば、コンポジットの中でダイナミックで動的な3Dが生成でき、さまざまなバージョンのインタラクションが付けられるのです。
――クレイマー氏にとってAfter Effectsとはどういったものでしょうか。
After Effectsの凄いところは、ハイエンドの映像を制作できることにあります。さまざまなプロダクションで映像を作ってきましたが、目立つコンテンツを作る必要があります。その時、モーショングラフィックスのビジュアルエフェクトを加えることでより良いものになるのです。
ーーそもそも映像に興味を持ったきっかけは何でしょうか。
「ジュラシックパーク」や「マトリックス」などの映画が大好きで、高校の時にビデオを作っていました。映画撮影のBefore・Afterに興味があり、私自身でそれを手がけてみたかったのです。ですので、雑誌からAfter Effectsのデモソフトを取り出して使い始めたところ、すぐにとりこになりました。映画や動画を作るというのは、私にとって「もっといろんなことができるようになりたい」というチャレンジであり、Video Copilotを立ち上げたのも、人生で学んだことを人に伝えたいと思ったからです。
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