SNSによる動画コミュニケーションや、動画プラットフォームの拡大により、個人・企業での動画制作ニーズが高まりを見せている。アドビシステムズが持つ動画編集ソフト「Premiere Pro CC」も、これまでは映画、ムービー制作など映像に携わる人が利用するツールだったものの、動画クリエーターの拡大に合わせて、機能をブラッシュアップしてきている。
同社では、新機能として「モーショングラフィックステンプレート」を実装したほか、クラウドAIプラットフォーム「Adobe Sensei」を活用した音声の自動調整などを、これまで「AfterEffects CC」や「Audition CC」で提供されていた機能の一部をPremiereに取り込み、操作を簡略化することで、誰でも簡単に高品質な映像を制作できるようになった。
こうした機能を提供した背景について、アドビシステムズでビデオプロダクトの統括責任者を務めるビル・ロバーツ氏に話を聞いた。
――複数ある新機能の中で、特にモーショングラフィックステンプレートが気になりました。AfterEffects CCならではの映像表現をPremiere Pro CCユーザーでも簡単に使えることで、映像品質の底上げが可能になると思いますが、この機能を提供した背景を教えてください。
背景として、放送局の制作するコンテンツで、ブランデッドコンテンツが増えてきた傾向があるからです。これらは、局の放送だけでなく、YouTubeやFacebookなどオンラインでも流す必要が出てきました。また、一つのバージョンを全世界に流すのではなく、ローカライズしたコンテンツ、例えばコミュニティごとや各言語に変えたものなどを制作する体制が必要になってきました。
そこで、AfterEffectsの機能をPremiereユーザーにも提供することにしたのです。例えば、デザイナーがAfterEffectsを使ってオープニングやタイトルを作れるテンプレートを、UIにある程度制限をかけて作成できます。テンプレートには、テキストやサウンドなども含めたモーショングラフィックスのすべてを入れることができるのです。オブジェクトにはコメントを残すこともできます。
今回、テキストツールも刷新し、「Photoshop CC」や「Illustrator CC」と同じ感覚でテキストを入力できるため、プロの動画編集者でなくとも制作しやすくなったように思います。また、作成したカラーやブラシなどをクラウドに保存できる「Creative Cloudライブラリ」の中に、特定のモーショングラフィックステンプレートを保存できるほか、今回の機能がどういったものかを知っていただくために、Premiere Pro CCに、デフォルトで50のテンプレートがビルトインされています。
――ユーザーが作成したテンプレートを「Adobe Stock」などで販売できるようになるのでしょうか。簡単にハイクオリティなテンプレートを購入できるようになれば、映像品質の底上げにつながりでそうです。
まだ公式にはアナウンスしていませんが、 もちろん検討しています。今は、取っ掛かりとしてこうしたテクノロジを使うことで、ユーザーは何が出来るのかを知ってもらうフェーズだと考えています。
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