サイバー犯罪者たちが、「WannaCry」の悪名の高さを自らの目的のために利用しようと試みている。世界中で猛威を振るったこのランサムウェア攻撃に対する人々の恐怖心につけ込んで、詐欺行為を働いているのだ。
WannaCryランサムウェアの攻撃は世界中の30万台のPCを襲った。WannaCryはワームのような機能を使って拡散し、Microsoftの「Windows」を搭載するマシン(特に古いバージョンのWindowsを使用するマシン)に感染する。
しかし、WannaCry感染の最悪の状態は脱したように思えるものの、詐欺師たちは同ランサムウェアへの恐怖心につけ込む技術サポート詐欺を働き始めた。そして、既に被害者が出ている。
詐欺行為やサイバー犯罪の報告を受け付けている英機関Action Fraudとロンドン市警察は、一般の人々にこれらの詐欺への注意を呼びかけるため、警告を発した。
この詐欺では、最初にMicrosoftからの警告と称するポップアップウィンドウが表示され(これを閉じることはできない)、被害者に対してマシンがWannaCryに感染したと通知する。そして、被害者に偽のサポートライン番号に電話をかけるよう促し、電話の向こう側にいる詐欺師にPCへのリモートアクセスを許可するよう要請する。
このアクセスが許可されると、詐欺師は無料の「Windows Malicious Software Removal Tool」をインストールした後、その料金として被害者に320ポンド(約4万6000円)を請求する。
ロンドン市警らは、「MicrosoftがPCに表示するエラーメッセージや警告メッセージに電話番号が記載されることは、決してない。それを覚えておくことは重要だ。Microsoftが自らユーザーに連絡し、依頼されていないPCサポートや技術サポートを提供することは絶対にない。ユーザー側から開始しない限り、同社がユーザーとやり取りすることはない」と警告している。
詐欺の形態は、技術サポート詐欺だけではない。
同ランサムウェアの標的になるのはWindowsだけだが、「Android」端末に偽の「WannaCry保護機能」を提供すると謳い、WannaCryへの恐怖心につけ込もうとするアプリも登場している。
McAfeeのサイバーセキュリティ研究者によって発見された「WannaCry Ransomware Protection」というAndroidアプリは、WannaCryなどのランサムウェアに対するアンチウイルス保護を提供すると謳っているが、実際にはアドウェアだ。
そのアプリをインストールすると、広告が表示され、保護機能をさらに強化するためにほかのアプリもインストールするようユーザーに求める。だが、それらのアプリの機能は、広告の表示だけだ。おそらくクリックスルーベースの報酬を得ることが狙いなのだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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