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最優秀賞は「ハイスペック聴診器」--KDDI ∞ Labo 第11期生が成果を発表 - (page 2)

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第10期から継続する4社のプロジェクト

 第10期から継続して第11期にも参加しているのは、笑農和(えのわ)、アクセルスペース、MAMORIO、XSHELLの4社。トータル6カ月を経て、事業性を高め、あるいはビジネスとして事業を急成長させている。

 笑農和は、高齢化により本格的な離農が始まりつつある日本の水稲農家を支援するべく、米作で最も手間がかかるとされる「水管理」に主眼を置いた“スマート水田サービス”「paditch」を開発。水田の各区画に水を送ったり、止めたりするのに設置されている多数の水門の開閉を、同社が独自に作り上げた「paditch gate 01」により、スマートフォンと連携して遠隔操作できるようにした。設定水位での自動開閉ができ、利用料金については「収穫期一括払いにも対応」した。

スマート水田サービス「paditch」を開発した笑農和
スマート水田サービス「paditch」を開発した笑農和

 アクセルスペースは、50機もの超小型衛星を打ち上げる「AxelGlobe」というプロジェクトを進めている。衛星に搭載したカメラなどにより世界中を毎日観測し、日々の変化を追うことができるだけでなく、画像・映像をデータとして販売することで、耕作地や石油貯蔵量の監視、地形分析、都市計画などに応用することも考えられる。すでに一部は実際に打ち上げられ、発電所での活用、駐車場の用地検討といった目的で、本格活用に向けたプロジェクトが進行している。

50機の超小型衛星を駆使して、衛星からの映像のビジネス活用を目指すアクセルスペース
50機の超小型衛星を駆使して、衛星からの映像のビジネス活用を目指すアクセルスペース

 MAMORIOは、スマートフォンとBluetoothで連携する忘れ物防止タグ「MAMORIO」を開発、すでに市販している。MAMORIOを取り付けた大切なアイテムの位置を、専用のスマートフォンアプリ上の地図で確認することができる。また、ユーザー自身だけでなく、他のアプリユーザーがMAMORIOに近づいた時にその位置を元のユーザーに知らせることも可能。東急電鉄と相鉄の2社と協業し、MAMORIOによって遺失物を早期に発見できるようにする「IoTお忘れ物通知サービス」の実証実験も開始している。

忘れ物防止タグ「MAMORIO」。他のユーザーのスマートフォンとも連携することで、落とし物を見つけやすくする
忘れ物防止タグ「MAMORIO」。他のユーザーのスマートフォンとも連携することで、落とし物を見つけやすくする

 XSHELLは、「IoT開発を、たった3ステップで」可能にするプラットフォーム「isaax(アイザックス)」を提供している。開発用ツールのセットアップ、IoT機器の設定・テストを省力化するだけでなく、「多数のIoT機器を1台のように扱える」仕組みで、世界中に散らばるIoTデバイスのソフトウェアのデプロイなども容易にする。

IoT開発、デバイス管理にかかわる手間を減らす「isaax」を提供するXSHELL
IoT開発、デバイス管理にかかわる手間を減らす「isaax」を提供するXSHELL

MeetUp!から選抜された3社のプロジェクト

 MeetUp!から選抜されたのは、Warranteeのほか、Kids Code Clubとポータブルの計3社。Kids Code Clubは、Science、Technology、Engineering、Arts、Mathematicsという、主に理系分野やプログラミングに関わる「STEAM教育」を子どもに提供するため、情報発信やワークショップの開催といった活動をしている。スクールを受講できない貧困環境の子どもに対してもSTEAM教育の機会を提供するため、動画でわかりやすく解説するなど、さまざまな活動をグローバルに展開していく計画。

STEAM教育を推進するKids Code Clubは、「家庭環境にかかわらず好きなことを思う存分学べるように」をキャッチフレーズにする
STEAM教育を推進するKids Code Clubは、「家庭環境にかかわらず好きなことを思う存分学べるように」をキャッチフレーズにする

 ポータブルは、水産業者向けの鮮魚商品の売買プラットフォームを構築している。水産業を営む地方では人口減少などにより魚の消費が減っており、それに伴って販売量の減少、卸業者による買い叩き、市場価格の上げ止まりといった問題が顕在化しつつある。また、その問題が都市圏の中央卸売市場での魚不足にもつながっている。そこで同社が開発したのが、地方市場と中央卸売市場を結ぶ新しい売買システム。売り側が容易に商品を出品できるだけでなく、買う側が「いつ、何の魚がほしいか」といった情報を出すことで、それを見た売り側が商品を提示することも可能にしている。

鮮魚商品の売買プラットフォームを提供するポータブル。地方と都市を直接つなげて鮮魚の流通の仕方を変える
鮮魚商品の売買プラットフォームを提供するポータブル。地方と都市を直接つなげて鮮魚の流通の仕方を変える

「インパクトのある事業創出」を狙う第12期

 最後にKDDI代表取締役の高橋誠氏が登壇し、第11期について総括。AI、IoT、AR/VR、宇宙、農業といった成長市場に関わるスタートアップがバランス良く集ったことを評価した。ただし、以前までの3カ月タームでのアクセラレータプログラムは、実証実験と事業連携まで進めることを考えた場合に短すぎるとも指摘。そのため、今回第10期に採択されたスタートアップ企業については、6カ月というタームで継続して取り組むように変更、多くの実証実験や事業連携につながったと話した。

KDDI代表取締役 執行役員副社長の高橋誠氏が総括
KDDI代表取締役 執行役員副社長の高橋誠氏が総括

 今後は、「既存企業がスタートアップと一緒に本当に事業を興せるのか」という課題をクリアするべく、同氏は「事業共創プラットフォーム」を作ると宣言。既存の大企業がスタートアップの技術を取り入れたり、スタートアップが大企業のリソースを活用したり、あるいは互いに連携して共同開発したり、といった相互協力によって「インパクトのある事業創出」を狙うとした。また、合わせてXSHELL、および遠隔地から自身の体のように操れるロボットを開発するTelexistance.incへの出資が決まったことも報告した。

 なお、次回の第12期についても概要を明かし、IoT、ビッグデータ、ドローン、AR/VR、ヘルスケアを主要テーマにするとした。これまでとは違って通年募集となり(最初の締め切りは6月19日に設定されるが、その後も募集は継続する)、アクセラレータプログラムに採択された場合の活動期間は12カ月に延長される。事業共創パートナーとしてTDKが、サポート企業として西武鉄道がそれぞれ新たに加わることになる。

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