「メルカリ」は4000万ダウンロードを突破している人気のフリマアプリだ。特に女性や若者を中心に人気を広げている。サービスの利用規約には、未成年は保護者の同意を得た上で利用するよう明記されており、それ以外に年齢に関する制限事項は設けられていない。つまり事実上年齢制限はなく、未成年でも使えるようになっている。
メルカリで、現行紙幣が出品されるなど、問題がある出品に関する報道が続いている。若者が多く利用していることで知られるメルカリだが、高校生や大学生の利用には問題はないのか。若者のメルカリ利用実態とともに、危険性について考えていきたい。
10〜30代女性を対象にしたジャストシステムの「フリマアプリの利用に関するアンケート」(2015年10月)によると、現在使用中のフリマアプリとして回答した人が多かったのは「メルカリ」で、88.6%と圧倒的な人気だった。フリマアプリを毎日閲覧するユーザーも41%に上る。
10代の利用状況を見てみると、33.8%は出品時の月間平均売上を1000〜5000円未満と回答。5000〜1万円未満売り上げる割合は13.3%、1万〜1万5000円未満売り上げる割合も8.1%いる状態だ。10代も非常に多く売買していることがよく分かるだろう。
メルカリの人気の秘訣は、スマホ1つで簡単に出品でき、売る側としては売れる商品の半数以上が24時間以内とスピーディに売れ、買う側としてはその場で決まった値段で買えるという、スマホ時代の感覚と合っている点などが挙げられるだろう。
メルカリの人気の秘訣はそれだけではない。たとえば、使用済みコスメもメルカリなら多数売られている。「使ってみて思ったのと違ったら売ればいい」と言う女子大生がいたが、そういう感覚になるのも当然だろう。そのほか、工作用にラップの芯、記名のない離婚届など、一見不思議なものが多数売られているのだ。このようにアイディア次第で何でも売れるため、お小遣い稼ぎをしたい若い女性には非常に魅力的な場となっているのだ。
これを逆手に取って、マネーロンダリングなどに使われていることが社会問題化しているのはご存知のとおりだ。たとえば「1万円札2枚を2万3500円」などという不思議な値付けで現行紙幣が出品されている例が多数見られた。これはクレジットカードの現金化にあたり、規約で禁止されている行為だ。
報道後すぐにこれらの出品は運営側によって削除された。しかし、その後もパチンコの特殊景品、チャージ済みSuicaなどのICカード、領収書などが次々と出品されており、イタチごっこ状態となっている。メルカリは事件後、24時間体制での監視・削除対応、ユーザーからの通報への対応などを発表している。
では、若者たちはメルカリで何を売っているのだろうか。問題は起きていないのだろうか。
若者の間では、「お金がないからメルカリで何か売るか」が合言葉のようになっている。「着なくなった洋服を売る」などは当たり前。前述のように無法地帯に近くなっているので、「他にも売れるものはないか」と目を光らせるようになる。
実は、大学名などで検索すると実にさまざまなモノが出品されている。たとえば「出席カード」は人気の品だ。大学の講義では、最近学生の出席を重視するようになっている。出欠の確認は、名前を呼んで返事をさせるか、出席カードと呼ばれるカードに記入して提出することが多い。
つまり、出席カードを入手して友だちに代わりに提出してもらい、単位を落とさないようにするわけだ。調べてみただけでも複数の大学の出席カードが出品されており、「SOLD」マークがついたすでに売れたものもあった。
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