医療テクノロジベンチャーのキュア・アップは4月26日、「IoT禁煙治療」をテーマにしたプレスセミナーを開催し、アプリとIoTデバイスで遠隔禁煙治療ができるソリューションを公開した。
日本では、2006年より禁煙外来で禁煙治療が受けられるようになってから約10年が経つ。保険が適用され、禁煙に取り組みやすい環境がある一方で、実は7割が禁煙に失敗しているという。治療開始1年後の禁煙継続率は3割で、薬局で購入できる禁煙補助薬では、9割以上が禁煙に失敗しているという。
なぜ現在の治療は失敗してしまうのか。キュア・アップの代表取締役社長で、呼吸器内科医の佐竹晃太氏は、「身体的ニコチンの依存は対処できても、依存心理的な部分のフォローが不十分だから」と分析する。
通常の禁煙治療は、治療を開始してから3カ月間の間に5回の通院が必要になるが、その通院まで間に数週間の空白の時間ができてしまう。そこでその空白の期間に「治療アプリ」とIoT機器によって個々に応じた適切なフォローをし、継続意欲が持続するように促すことで、治療効果を高めようという試みだ。
遠隔だけで済ませるものではなく、現在の通院する禁煙外来の診療にプラスする形で導入を目指す。この禁煙治療アプリは、慶應義塾大学呼吸器内科と共同研究・臨床研究の中で開発している。現在、保険償還の適用に向け、複数の医療機関で臨床試験中だという。
医学的エビデンスを組み込んだ人工知能技術を用いて、診察の時間外にも患者に合った治療ガイダンスを受けられるようにすることで、「気合い」になりがちな禁煙を医学的にサポートする。
たとえば、禁煙がつらくなってくる2日目、朝起きて、煙草を吸うクセがある人には、「目覚めたら、煙草を吸いに行く場所に行かず、洗面所に行きましょう」。吸いたい衝動があるときには、「ガムを買ってポケットに入れておきましょう」──といったように、患者の生活習慣や重症度などに合わせ、抱える衝動に対しどのようなアクションを起こせばよいかを指示する。
もう一つキーとなるのは「ポータブル吸気一酸化炭素測定IoTデバイス」だ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」