ヤフーは4月26日、2016年度通期および第4四半期の決算を発表した。通期の連結業績は、売上高が前年度比30.9%増の8537億円。営業利益は同14.6%減の1920億円だが、2015年度第2四半期に発生したアスクルの企業結合にともなう再測定益596億円と、2016年度第4四半期に発生したアスクル物流センター火災による損害費130億円を調整した後の営業利益は24.1%増の2050億円となる。純利益は同20.4%減の1365億円となり、創業以来初めて通期での減益となった。
詳細を見ると、広告関連の売上高は同7.3%増の2864億円。ECの国内流通総額は同23%増の1.85兆円。そのうちアスクル単体におけるB2B事業のインターネット経由売上高は2126億円。月間アクティブユーザーID数は同15%増の3898万人、月間有料会員ID数は同6%増の1773万人だった。
第4四半期の売上高が前年同四半期比7.6%増の2227億円。営業利益は同33.4%増の398億円だが、アスクル物流センター火災による損害費を調整した後の営業利益は76.8%増の528億円となる。純利益は同75.8%増の317億円だった。
「Yahoo! JAPAN」のサービス利用動向については、数値から興味深い結果が見えてきた。スマートフォンを対象にしたDUB(デイリーユニークブラウザー数)は2013年度第4四半期は3216だったが、2016年度第4四半期は5905と全体の65.1%を占めている。前述した広告関連売上高もスマートフォン比率は50.4%、EC国内流通総額は46.3%と、PCやタブレット、フィーチャーフォンを使わないユーザーが増えていることが明確になった。
「2012年に社長のバトンを受け継いだとき、PCのYahoo!からスマホのYahoo!になるようにしてほしい」と、前社長に託されたヤフー代表取締役社長の宮坂学氏だが、その結果が数値に現れている。スマートフォン用アプリの累計ダウンロード数も、2013年度第4四半期の1.6億回から4.8億回まで成長した。
基幹事業である広告事業については、検索連動型広告の売上高が2014年度第4四半期は前年同四半期比0.6%増だったものの、そこから下降の一途をたどっていた。改善の兆しが見えたのは2016年度第1四半期。いくつかの機能改善を行うことで右肩上がりに転化し、今第4四半期は7.7%増まで回復した。
広告事業について宮坂氏は、「スマートフォン広告売上高が(広告事業全体を)牽引している」と語る。この勢いを加速させるため、ヤフーはコンテンツの間に表示するインフィード型動画広告の正式販売を3月15日に開始。先行投資事業に類するショッピング・クレジットカード事業も全体的に成長し、順調であることをアピールした。
ヤフーは2017年度以降の中長期的取り組みとして、これまで以上にスマートフォンユーザーに注力することを明らかにした。背景には前述したDUBのスマートフォン比率や、広告売上高比率の53.1%がスマートフォン経由になるなど、PCとスマートフォンの逆転劇がある。「当初はスマホの小さい画面で広告事業が立ち上がるか課題だったが、検索連動型広告などの改良を経て、広告でもスマートフォンシフトを実現できた」(宮坂氏)。
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