ヤフー宮坂社長「広告でもスマホシフトを実現できた」--通期では初の減益 - (page 2)

2017年度は3つの重点施策

 これらの数値を踏まえて、同社は「マルチビックデータドリブンカンパニー」を目指す。具体的には各種コンテンツを“「枠」から「人」へ”を合い言葉にすべてをパーソナライズ化し、ユーザーの好みに沿ったサービスや広告配信をする。100を超える同社サービスや、約4000万人という月間アクティブユーザー数、DUBは約9000万回といったマルチビックデータの多用性・量・鮮度を生かし、メディアのビュースルー率や広告のクリック率、ECのコンバージョン率の向上を通して、さらなる収益向上を目指すという。

 宮坂氏は「次の時代はデータを征するものがパーソナライゼーションを征する」と意気込みを語った。効果測定などで得たデータを元に、次のアクションを起こすデータドリブンを加速するため、「マルチビックデータの拡充」と「データサイエンスの強化」という2つの条件を重視する。前者はメディアやEC、決済金融など各事業でナンバーワンを目指すもので、後者はデータによる成長のエコシステム実現を目標に掲げている。

 2017年度の方針として、ヤフーは「ECの取扱高最大化」「リッチメディア化」「データドリブン化」の3つに軸足を置く。まずECは、これまでもキャンペーンなどいくつかの施策を打ってきたが、今後は“買い手”を増やすためプレミアム会員向けのキャンペーンを強化する。さらに、ソフトバンク会員向けキャンペーンを続行しつつ、「Yahoo!プレミアム」の全特典を同会員に提供するなど、グループ企業の強みを使った施策を次々と用意しているという。また、「ヤフオク!」「Yahoo!マネー」の連動施策も継続し、EC事業全体で前年度比30%増の持続的成長を目指す。

EC事業をグループ企業の連携で強化する
EC事業をグループ企業の連携で強化する

 リッチメディア化はヤフーの存在感にもつながる「Yahoo!ニュース」への注力だ。現在同サービスをPCで利用している人は約3300万人、スマートフォン経由は約3900万人。「平成28年度情報通信白書」ではPC経由のインターネット利用者は約6900万人、スマートフォン経由の利用者は約6570万人となるため、全体に対して半分程度だ。同社は成長余力があると判断し、動画コンテンツのさらなる拡大や、4月18日から開始した「日テレNEWS24」の24時間ライブ配信などを通じて、ニュースコンテンツの強化を進めていく。「インターネットのニュースはビデオで見る習慣を広げたい」(宮坂氏)。

 最後のデータドリブン化は、データ利活用で各事業の売り上げを伸ばすことが目的。ヤフーはEC事業の事例として、一定期間注文履歴のないユーザーに対しては通常のランキングを提示していたが、検索結果などを元にしたレコメンド済みランキングに切り替えることでクリック率が4.5倍に増加したという。また、Yahoo! JAPANトップページでも深層学習など新技術を用いた手法によって、利用者滞在時間が6.9%も伸張したという。

 このようなデータ利活用や改善を行うため、同社はモダンな開発環境への移行と、最新の開発環境を維持・継続することを目標に掲げた。具体的には、EC分野に250億円、データドリブン化に150億円、販売側品費に510億円と、営業利益の約半額にあたる資金を積極的に投資するという。「(創業から)20年も経つと技術負債も蓄積してしまう。技術に強い企業を目指すために負債を減らしながら、モダンな開発環境を実現するための投資を強化する」(宮坂氏)。

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