フェンリルは4月27日、プッシュ通知エンジン「BoltzEngine(ボルツエンジン)」をバージョンアップし、ウェブプッシュ機能の提供を開始したと発表した。企業担当者が、従業員のPCブラウザ上に業務連絡をプッシュ通知し、すばやく対処できるようにするといった使い方が可能になるという。
BoltzEngineは、モバイルアプリ(iOS/Android)にプッシュ通知をするための超高速プッシュ通知配信エンジンで、1秒間で3.5万端末へ送信できることが特徴。サーバ環境に依存せず、Windows、Linux、Unixなどでも動作するオンプレミス運用が可能なため、導入企業は自社の情報セキュリティポリシーに遵守しながら、既存システムを有効活用できる。これまで、JR西日本の乗務員向け運行情報アプリや、各社の災害情報アプリなどに採用されているという。
個人向けのスマホアプリなどではプッシュ通知が一般的になっているが、ビジネスの現場では、いまだにPCの利用が主流であることから、業務システムにおいてもPCのウェブブラウザ利用を前提に構築されているものが少なくないと同社では説明。このようなウェブシステムでは、通知の大半を現在でもメールに頼っており、利用者が重要な情報に気づきにくいという問題があると指摘する。
そこで、PCブラウザ向けに新たに提供するウェブプッシュ機能では、企業が特定の相手のウェブブラウザに、業務連絡などをプッシュ通知できるようにした。同機能を業務システムに導入することで、利用者が重要な情報を見落とす心配を減らし、業務プロセス全体の処理速度向上が期待できるとしている。
たとえば、ワークフローの承認依頼をプッシュ通知して、担当者に迅速な判断を促す。あるいは、監視システムの警告情報をプッシュ通知して、担当者がすばやく対処できるようにするといった使い方ができる。また、一般のウェブサイトでも、ニュースサイトであれば速報をリアルタイム配信したり、コミュニティサイトであれば新着メッセージを案内したりできるという。
送信先が多い場合に送信速度を保つ分散構成や、一時的にエラーが発生した場合の再送制御など、プッシュ通知の送信に考慮したさまざまな処理が組み込まれており、小規模から大規模まで、安定した配信性能を実現できるとしている。
ただし、通知の受信には、利用者が受信を許可していること、ウェブブラウザが起動していること、インターネットに接続していることなどの必要条件が設けられている。また、プッシュ通知は、スマートフォンOSやウェブブラウザの提供元(AppleやGoogle、Mozillaなど)のサービスに依存しており、通知の受信が保証されるものではないという。
BoltzEngineには、プッシュ通知基盤となるエンジン本体に加えて、プッシュ通知を配信できる管理画面とプッシュ通知を受信できるウェブサイト・スマートフォンアプリが含まれる。それぞれに基本的な通知配信・通知受信機能が実装されており、そのまま利用できるだけでなく、カスタマイズにも対応する。受信側には、開発キット(SDK)も用意される。条件が多く複雑なウェブプッシュの許可制御フローがあらかじめ用意されているため、わずかな実装工数でウェブシステム・ウェブサイトに組み込めるという。
ウェブプッシュ機能は、BoltzEngineのすべてのプラン(Flash、Lightning、Thunderbolt)に標準で含まれる。自社運用の消費者向け・従業員向けサービスであれば、1つのライセンスで利用者数とウェブサイト数に際限なく利用できる。同名のサービスをスマートフォンアプリで提供する場合にも、追加の費用や申し込みは必要ないという。
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